余裕な後輩くんは,一途に先輩を想う。
たった1つ年下なだけの,立派でイケメンな男性なのに。

うつ向いてたから泣いてるんじゃないか,なんて私も飛躍しすぎだと思います。

想像したんです,私。

一ノ宮さんだって,まさか手が届かなかった挙げ句に泣いただなんて思ってないでしょう。

私が適当な格好で,しかも徒歩で出歩いていたから……

変な想像をさせてしまったんだろうなって。

思わず笑ってしまいました。

失礼だけど,そう思ったら止まりませんでした。

そんな風に動く一ノ宮さんは,きっと。

繊細な人なんだろうなって。

会社では見られない一ノ宮さんが,嬉しくて堪りませんでした。

それから気にするようにもなってみれば。

案外一ノ宮さんは慎重な人で,周りをよく見ていました。

それでも人との距離感で眉をひそめられる事はあるみたいで。

一層私だけに敬語なのは,なんでだろうって思い始めたんです。

気付いた時には,もう。

一ノ宮さんの笑顔を思い出しては,赤くなる毎日。

一ノ宮さんの事が知りたくて,理解したくてどうしよもない気持ちになってたんです。
< 52 / 78 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop