余裕な後輩くんは,一途に先輩を想う。
「いいな,どころじゃない。もうとっくに好きなんです」

「そう,なんだ……」



あまりうまく想像できない。

それが私の感想だった。

だけど,先日の大人しい彼を思えば,そんな1面もあるのかな,なんて。



「でも最近は,それだけじゃないんです」

「え?」

「同じかもしれないって,思い始めてるんです。どんな感情であれ,私が少し特別に扱われてるのは,気付いてるんです」



? が頭に散らばる。

最近起きた事や聞いたこと,全てがちりぢりになって纏まらない。

両想いってことで,大丈夫?

木村さんの言葉はどこか確信的で,彼女が間違うわけないと思えばこそ,私は戸惑った。

じゃあこの前のあれは……勘違いで,身を引いたって,そういう……?

んーう,わからない。

そもそも一ノ宮くんって,掴みにくいところがあるから……

それでも,木村さんには分かることがあるのだろうと,私は思う。
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