余裕な後輩くんは,一途に先輩を想う。
どういうとこ?
全部全部受け入れて,そうだったのかと受け入れて。
すると案外私は落ち着いていて,木村さんの気持ちを知ったことでどきどきしていた。
そんな午後。
だった……
はず,なのに……
翌日にもなって,最初に佐藤くんとあいさつを交わしてみれば。
「先輩?」
硬直した頬肉,上昇する体温。
こんなはずでは無いのに。
と言葉が途切れたままの私は佐藤くんと向き合った。
「っ,っっぁ,の」
「せん……」
「また後で!」
ピュッと目前から逃げれば,都合よくチャイムが鳴る。
始業開始だ。
あぁ,なるほど。
納得じゃなくて,ようやく理解した。
好き。
恋愛感情って,こういうものなんだ。
それは……
思い出すのは友達を始め,木村さん。
うん,あんな表情になるよね。
じゃあ,私は?
今のあっつい私のこの顔は,どうなってるんだろう。
そんなの,決まってる。
少なくとも平常の,佐藤くんに見せられる顔じゃない。