余裕な後輩くんは,一途に先輩を想う。
あれ……これもしかして……

守ってくれてるんじゃなくて,まさか。

私を隠して,独り占めしたいだけ??

心配しなくても彼女からの愛は,特に昨日を含め,普段から充分伝わっている。

折っていた膝を少し伸ばして覗くと,木村さんの安い挑発に乗り,機嫌を悪くしている佐藤くんがいた。



「は? 何それ。先輩,何があったの?」



木村さんには結構ドゲトゲしんだななんて思って。

気安く感じていいななんて考えてしまって。

ぼーっと空を見ていた私に,佐藤くんの視線が向く。



「えっ? う,ううん,何も。ほら,この前約束してたお蕎麦,行っただけ。知ってるでしょ? ……ね,絵莉花さん」



いい?

いい? セーフ?

だって,仲良くなったって(設定)だもんね?

心配もよそに,きゃっと嬉しそうな顔になった木村さん。

けれど反対に眉を寄せた佐藤くんを見て,その空気感に耐えられなかった私はまたうつ向いた。
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