余裕な後輩くんは,一途に先輩を想う。
「何笑ってんの?」
ひょこっと,背の高い佐藤くんが私の顔を覗き込む。
私は両手で距離を取りながら,顔を背けた。
2人がいい感じかも……なんて,勝手に話すわけにもいかない。
「一ノ宮くんが…………いいなって思ってたの」
若い2人の恋愛は,私にはとてもきらきらして見える。
深く明確に,佐藤くんに教えてあげることは出来ないけど。
「……は? 一ノ宮? まってどういう意味?」
覗き込んだ体勢のまま,彼は私の狭い肩を,がっしりと掴んだ。
じりじりと私の反応を窺う様に,何の遠慮も無く近寄られる。
綺麗な顔がドアップだった。
「あの,ぇっと」
「何で,そこで赤くなる? 先輩,答えて」
近いからだよ!
佐藤くんこそちょっと離れて。
自分の顔面が凶器だって,分かってるの?
それとも,その距離が普通,だったり……
「ちょっと,来て」
焦れた佐藤くんは,私の腕をぐいと引いて,どこかへ足先を向けた。
1秒遅れて,私がハッとする。
どこに連れて行かれても,もう話せることなんてないのに!
ついでに話すことも。
深い意味なんてちっとも無いのに……
ひょこっと,背の高い佐藤くんが私の顔を覗き込む。
私は両手で距離を取りながら,顔を背けた。
2人がいい感じかも……なんて,勝手に話すわけにもいかない。
「一ノ宮くんが…………いいなって思ってたの」
若い2人の恋愛は,私にはとてもきらきらして見える。
深く明確に,佐藤くんに教えてあげることは出来ないけど。
「……は? 一ノ宮? まってどういう意味?」
覗き込んだ体勢のまま,彼は私の狭い肩を,がっしりと掴んだ。
じりじりと私の反応を窺う様に,何の遠慮も無く近寄られる。
綺麗な顔がドアップだった。
「あの,ぇっと」
「何で,そこで赤くなる? 先輩,答えて」
近いからだよ!
佐藤くんこそちょっと離れて。
自分の顔面が凶器だって,分かってるの?
それとも,その距離が普通,だったり……
「ちょっと,来て」
焦れた佐藤くんは,私の腕をぐいと引いて,どこかへ足先を向けた。
1秒遅れて,私がハッとする。
どこに連れて行かれても,もう話せることなんてないのに!
ついでに話すことも。
深い意味なんてちっとも無いのに……