余裕な後輩くんは,一途に先輩を想う。
「えっいいよ。桜ちゃんなんて新鮮。流石に下心あるような人からは嫌だけど……」

「だめ」

「え??」

「彼女ポジから言わせて貰っても,ナシで。いーい? 一ノ宮くん」

「……はい。ってか,近いです絵莉花さん」



絵莉花さんが何の惑いもなく一ノ宮くんに抱きついて,その彼は逆に戸惑っている。

んおっと片手を口に当てると,あれっと気づく。

彼女って言った?

その意味を考えて,じわりと胸に広がる。

彼女?!

よくよく見れば,絵莉花さんが抱きついた腕の先の手は,しっかりとお互い握られていた。



「えへへ」



絵莉花さんが笑って,確信を得る。

えっいつ?!

驚きより良かったねと言う嬉しさが勝って,私はわーっと目を輝かせて訴えた。

けれど,絵莉花さんの顔はちょっと拗ね顔に変わる。

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