余裕な後輩くんは,一途に先輩を想う。
『あんだけイケメンだと,女の人は直ぐ落ちちゃうかな』

『木村さん?』



その問いに,はいと言った一ノ宮くん。



『あの2人,なんか妙に仲良くなっちゃって……桜島さん,あの2人,まじでお願いします』



言い逃げた,一ノ宮くん。

ん? え? じゃああれは……



「え? そ,そーゆーことだったの?! 
応援してあげてって意味かと……」

「あーあれは。取られたら困るからあいつちゃんと押さえといてって意味です。え,何もしてないですよね」

「あーと,出来なかったって言うか……それから直ぐ,絵莉花さんの気持ちも聞いちゃってたし」

「あー! 先輩それ!」



言っちゃ,だめだった?

ごめんねのポーズを,口元でとる。

すっと寄ってきた出雲。

耳元でふっと囁かれる。



「へぇ,何の話か知らないけど。"出来なかった"んだ」



余裕の笑みで離れていく彼。

2人に聞こえないようにしてくれたんだろうけど!

それでも言う辺り,意地が悪い。
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