やっぱり…キスだけでは終われない

両腕でギュッと抱きしめられ、彼の腕の中にスッポリ収まる。そのままの体勢で頭頂部辺りに唇が触れる感触があった後、彼は抱擁をといた。

「さぁ、お腹も空いたし起きようか。それともシャワー先に浴びる?」

彼はベッドを出ると床に落とされていたバスローブを拾いあげる。それを纏い彼は私も起き上がらせようと手を伸ばしてきた。

「ま、柾樹さんが先にシャワー浴びてきてください」

「柾樹。 “さん”はいらないよ。シャワーなら一緒にいこう」

「えっ?」

「だって、俺が一人でシャワー浴びてる間にこの部屋から逃げ出されたりしたら困るからね」

「に、逃げませんよ」

「まぁ、少なくとも今朝は逃げられないだろうね」

ニヤッとしたり顔で逃げられないと自信満々に語られて、首を傾げた。

「カナ。立てる?」

「…え……」

体にというか主に足に力が入らず、ベッドから自力で出られずにヘタリこむ。

「ごめんね。昨夜は嬉しくて制御できなくなったから…」
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