やっぱり…キスだけでは終われない

同棲初日の夜、私はやはり柾樹に逆らうことはできず、手を繋がれたままお風呂に連れていかれる。さんざんお風呂で蕩けさせられた後は、バスタオルを巻いただけで横抱きにされベッドの上に下ろされる。きっとこれも彼の予定通りなのだろう…。

ベッドの上で私を見下ろす柾樹の熱い手が頬を包む。そっと触れる優しいキスから始まり、しだいに深まっていく。もっと…と思っていた時、ふと唇が離れた。

「カナ…今日からずっと一緒だぞ」

「うん…」

「改めてよろしくな。カナには俺のためにとか、家のこととか無理してほしい訳じゃない。ただ、一緒にいたいんだ。どんなことがあっても、もう離さない…」

「…うん…。ありがとう…」

このタイミングでこんなことを言われて、心まで蕩けてくる。

「俺も…ありがとう。カナに出会えて幸せだ。愛してる」

再びキスが始まり私の「愛してる」は言葉にはならなかった。
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