やっぱり…キスだけでは終われない

口元に手を当てて、少し気まずそうに横を向いていた柾樹が「ほら」と手を伸ばしてきて、私を抱き上げた。

驚き「きゃっ」と小さく声を出し、彼の首にしがみつく。

横抱きにされたままバスルームに連れていかれる。バスルームに行き、体に掛けられていたバスローブを取り、柾樹は私の体を支えながら一緒にシャワーを浴びた。

今まで生きてきた中でこんな状況になったことは当然なく…泡で少しだけ隠れているとはいえ、羞恥で思考が停止する。

…なにかの罰ゲームみたい…恥ずかしすぎて息止まりそう…そんなことを思う時間だった。

丁寧に体と髪を拭かれ、バスローブを羽織らされ、椅子に座らせられる。次いでドライヤーで髪を乾かしてくれた。

服に着替える頃には私も自分でやると言い張り、一人寝室に行き服を着てリビングに戻る。するとルームサービスの朝食が準備されていて驚く。

「さぁ、こっちにおいで。お腹が空いたろう」 

「はい」と笑顔で答えると柾樹も嬉しそうに笑顔を返してくれた。 

なんとも手際が良くて、仕事のできる男は違うな…と感心する。
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