やっぱり…キスだけでは終われない

「そうは言っても、あなたたち婚姻届は提出したんだし、もう夫婦でしょう」

「それも…そうなんだけど…。あの時は柾樹さんに流されて…勢いで書いちゃったんじゃないかって。自分の気持ちすら自信がなくなってきて…。まだ家族と一部の人しか知らないことだし…。結婚式や披露宴をしてしまったら、大勢の人に知られてしまうのよ」

「まあね。そういうものだから」

「結婚式にきてくれる人たちに不釣り合いな夫婦だって思われるんじゃないかなって…」

「そんなことある訳ないじゃない。カナは美人で可愛らしいところもあるし、柾樹さんも格好良くてとてもお似合いの二人よ。それにカナはもう『私なんか』って言わないんじゃなかった?」

「…自信…なくなってきちゃったの…」

「一人で悩むより、柾樹さんときちんと話し合った方がいいと思うよ」

「…うん…」

「式の前日は実家に泊まるんでしょう。私も顔出すね」

励ましてくれてたアヤちゃんと別れ、自宅に戻る。その日の夜、話をしようと柾樹の帰りを待っていた。しかし、眠気に勝てなかった私は先に眠ってしまったため、柾樹と話をすることはできなかった。
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