やっぱり…キスだけでは終われない
翌朝、朝食を食べている時に少し話はできたが、毎日忙しく寝不足気味の柾樹の顔には疲れた様子が窺えた。そのため、私は自分の今の気持ちを伝えることはできなかった。
昨日のフィッティングの様子を「写メでもいいから見たかった」と言われたけれど、そこはアヤちゃんの言葉をかりた。
「当日まで楽しみにしててください」
精一杯の笑顔でそう答えたら、少し残念がっていたけれど納得したように笑って「楽しみにしてる」と言ってくれた。
私のこの言い表しようのない不安な気持ちをどう伝えたらいいのか、いろいろ考えつつ他愛もない話をしていると、柾樹は日曜日だというのに仕事に行ってしまった。
「結局、話せなかった…はぁ…」と、ため息が漏れる。
同じ家にいてもこれほどすれ違うとまともに会話もできない。そんな日が続いてしまい、気がつけば結婚式の前日を迎えていた。