そのままの君が好きだよ
(どうして気づかなかったんだろう)
気づいていたら、こんなにもショックを受けなかっただろうに。自分がふがいなくて、情けなくて、堪らない。胃の辺りがキリキリと痛み、喉の辺りに何かが迫り上がってくる。
(今すぐここから逃げ出したいのに)
そう思うのに、瞳はジャンルカ殿下とロサリア様に釘付けになっているし、身体が一歩も動かない。
(どうしよう)
半ばパニック状態に陥ったそのとき「ディアーナ」
と誰かがわたくしの名前を呼んだ。後から肩をポンと叩かれ、止まっていた時間が動き出したような心地がする。
振り返れば、そこにはサムエレ殿下がいた。殿下は息を切らし、額の汗をそっと拭う。それから困ったような表情でわたくしを見つめながら、ふぅとため息を吐いた。
「探したよ。昼休みになったら声を掛けようと思っていたのに、いつの間にか居なくなってるんだもん。
ディアーナは相変わらず足が速いね」
そう言って殿下は目を細める。その途端、唐突に涙が溢れてきた。心の中の蟠りが、涙と一緒に溶け出すような心地がする。
殿下は「触れても良い?」って伺いを立てつつ、わたくしの頭をポンポンと撫でた。
気づいていたら、こんなにもショックを受けなかっただろうに。自分がふがいなくて、情けなくて、堪らない。胃の辺りがキリキリと痛み、喉の辺りに何かが迫り上がってくる。
(今すぐここから逃げ出したいのに)
そう思うのに、瞳はジャンルカ殿下とロサリア様に釘付けになっているし、身体が一歩も動かない。
(どうしよう)
半ばパニック状態に陥ったそのとき「ディアーナ」
と誰かがわたくしの名前を呼んだ。後から肩をポンと叩かれ、止まっていた時間が動き出したような心地がする。
振り返れば、そこにはサムエレ殿下がいた。殿下は息を切らし、額の汗をそっと拭う。それから困ったような表情でわたくしを見つめながら、ふぅとため息を吐いた。
「探したよ。昼休みになったら声を掛けようと思っていたのに、いつの間にか居なくなってるんだもん。
ディアーナは相変わらず足が速いね」
そう言って殿下は目を細める。その途端、唐突に涙が溢れてきた。心の中の蟠りが、涙と一緒に溶け出すような心地がする。
殿下は「触れても良い?」って伺いを立てつつ、わたくしの頭をポンポンと撫でた。