そのままの君が好きだよ
4.君は何も悪くない
サムエレ殿下とわたくしは、街の入り口で馬車を降りた。
(うわぁ……)
たくさんの人が行き交う中、わたくしの胸は興奮で高鳴る。街をこんな風に歩くのは生まれて初めてだった。街歩きに限らず、ジャンルカ殿下にはわたくしと出掛けるという発想自体がなかったようだし、わたくしは屋敷に籠って勉強ばかりしていたから。
「お腹空いただろ? まずはご飯にしようか」
そう言ってサムエレ殿下がニコリと微笑む。その瞬間、お腹がぐぅと大きな音を立てた。恥ずかしさに頬を染めれば、殿下はクスクスと笑い声をあげる。
「そっ……そこは聞こえなかったフリをしてくださっても良いと思いますわ!」
「ごめん。ディアーナにしては珍しいなぁと。すごい……可愛いなぁって」
(可愛いっ⁉)
そんなこと、生まれてこの方言われた記憶がなかった。綺麗だとか、美しいといった社交辞令を貰うことは多々あれど、『可愛い』はわたくしにとって、あまり身近な誉め言葉ではない。
(うわぁ……)
たくさんの人が行き交う中、わたくしの胸は興奮で高鳴る。街をこんな風に歩くのは生まれて初めてだった。街歩きに限らず、ジャンルカ殿下にはわたくしと出掛けるという発想自体がなかったようだし、わたくしは屋敷に籠って勉強ばかりしていたから。
「お腹空いただろ? まずはご飯にしようか」
そう言ってサムエレ殿下がニコリと微笑む。その瞬間、お腹がぐぅと大きな音を立てた。恥ずかしさに頬を染めれば、殿下はクスクスと笑い声をあげる。
「そっ……そこは聞こえなかったフリをしてくださっても良いと思いますわ!」
「ごめん。ディアーナにしては珍しいなぁと。すごい……可愛いなぁって」
(可愛いっ⁉)
そんなこと、生まれてこの方言われた記憶がなかった。綺麗だとか、美しいといった社交辞令を貰うことは多々あれど、『可愛い』はわたくしにとって、あまり身近な誉め言葉ではない。