そのままの君が好きだよ
とはいえ、ジャンルカ殿下の話題をずっと避け続けることはできない。
婚約破棄から数日後、わたくしは両親にジャンルカ殿下に婚約を破棄されたことを伝えた。
「そんな……陛下からは事前に何の相談もなかったぞ」
父は酷く困惑していた。未だに陛下から、何も話を聞いていないらしい。
(婚約破棄自体はジャンルカ殿下の独断だったみたいだけど)
彼は、陛下がわたくしたちの婚約破棄を認めないわけがないと話していた。それが伝統だから、と。
(いけない)
ジャンルカ殿下の話をするたびに、塞がっていた傷跡から血が噴き出すような心地がする。彼の言葉を思い出すたび、お腹のあたりで黒い感情がドロドロと蜷局を巻く。
そんなわたくしの気持ちを察したのか、両親はそれ以上の追及をしなかった。陛下に直接話を聞くと言って、それっきり。我が家で二度と、殿下の話題が上ることはなくなった。
婚約破棄から数日後、わたくしは両親にジャンルカ殿下に婚約を破棄されたことを伝えた。
「そんな……陛下からは事前に何の相談もなかったぞ」
父は酷く困惑していた。未だに陛下から、何も話を聞いていないらしい。
(婚約破棄自体はジャンルカ殿下の独断だったみたいだけど)
彼は、陛下がわたくしたちの婚約破棄を認めないわけがないと話していた。それが伝統だから、と。
(いけない)
ジャンルカ殿下の話をするたびに、塞がっていた傷跡から血が噴き出すような心地がする。彼の言葉を思い出すたび、お腹のあたりで黒い感情がドロドロと蜷局を巻く。
そんなわたくしの気持ちを察したのか、両親はそれ以上の追及をしなかった。陛下に直接話を聞くと言って、それっきり。我が家で二度と、殿下の話題が上ることはなくなった。