そのままの君が好きだよ
(もしかして……)
ジャンルカ殿下はきっと、王宮でロサリア様にプロポーズをする気なのだろう。そこでわたくしと婚約破棄をしたこと、聖女は代々、王族と結婚してきたことを伝えるつもりなのだ。
恐らくはロサリア様を驚かせたい――――その一心で、彼は周囲の人間に箝口令まで敷いた。
(あんなにも噂が広がっているというのに)
まさかジャンルカ殿下がそこまでするとは――――。そう思うと、なんだか笑えてきてしまう。
(この場でこの子に真実を教えるのも悪くない)
聖女と結婚するために、ジャンルカ殿下はわたくしとの婚約を破棄したのだと。だから、わたくしが王宮に赴くことは、もう二度とないと――――そう伝えたら、ロサリア様は一体どんな表情をするだろう?恐らくは深く傷つくに違いない。
(そうすればわたくしは、誰がどう見ても嫌な女になり下がる)
中途半端に自分を嫌いになるくらいなら、救いようの無い程に、どん底まで堕ちてしまった方が良いのかもしれない。そうすれば、今後は自分に自信を持つことも、好きになることもなくなる。こんな風に自分に幻滅することもきっと無くなるだろうから――――。
けれどその時、ふとサムエレ殿下の笑顔が脳裏に浮かんだ。途端に目頭がぐっと熱くなる。わたくしは小さく首を横に振りつつ、下を向いた。
ジャンルカ殿下はきっと、王宮でロサリア様にプロポーズをする気なのだろう。そこでわたくしと婚約破棄をしたこと、聖女は代々、王族と結婚してきたことを伝えるつもりなのだ。
恐らくはロサリア様を驚かせたい――――その一心で、彼は周囲の人間に箝口令まで敷いた。
(あんなにも噂が広がっているというのに)
まさかジャンルカ殿下がそこまでするとは――――。そう思うと、なんだか笑えてきてしまう。
(この場でこの子に真実を教えるのも悪くない)
聖女と結婚するために、ジャンルカ殿下はわたくしとの婚約を破棄したのだと。だから、わたくしが王宮に赴くことは、もう二度とないと――――そう伝えたら、ロサリア様は一体どんな表情をするだろう?恐らくは深く傷つくに違いない。
(そうすればわたくしは、誰がどう見ても嫌な女になり下がる)
中途半端に自分を嫌いになるくらいなら、救いようの無い程に、どん底まで堕ちてしまった方が良いのかもしれない。そうすれば、今後は自分に自信を持つことも、好きになることもなくなる。こんな風に自分に幻滅することもきっと無くなるだろうから――――。
けれどその時、ふとサムエレ殿下の笑顔が脳裏に浮かんだ。途端に目頭がぐっと熱くなる。わたくしは小さく首を横に振りつつ、下を向いた。