そのままの君が好きだよ
「本当はずっと、ディアーナを誘いたかったんだ。兄上の婚約者だったから、これまで叶わなかったけど」
サムエレ殿下はそう言って照れくさそうに笑う。
(何それ……なにそれ…………!)
胸の鼓動が先程よりも速くなる。なんだか地に足が着いていないような、フワフワした心地がした。
(こんな感覚、わたくしは知らない)
生まれて初めて感じる胸の甘さ。どうすれば良いのか分からなくて、わたくしは小さく首を振る。けれどそれは、柔らかな雪みたいに心の中に降り積もって、わたくしをそっと温めた。
「殿下は本当に……女性を立てるのがお上手ですね」
サムエレ殿下がどうしてわたくしを誘ってくれたのかは分からない。だけど、彼にあんな風に言葉を掛けられて、喜ばない女性は居ないと思う。
(夜会に誘うぐらいだもの)
多少なりとも好意を期待してしまうのが乙女心というものだろう。
(なんて、ジャンルカ殿下と婚約している間、『好意』とか『乙女心』なんて意識したことすら無かったけれど)
そんなことを思い出しながら、わたくしはふと笑みを漏らす。
サムエレ殿下はそう言って照れくさそうに笑う。
(何それ……なにそれ…………!)
胸の鼓動が先程よりも速くなる。なんだか地に足が着いていないような、フワフワした心地がした。
(こんな感覚、わたくしは知らない)
生まれて初めて感じる胸の甘さ。どうすれば良いのか分からなくて、わたくしは小さく首を振る。けれどそれは、柔らかな雪みたいに心の中に降り積もって、わたくしをそっと温めた。
「殿下は本当に……女性を立てるのがお上手ですね」
サムエレ殿下がどうしてわたくしを誘ってくれたのかは分からない。だけど、彼にあんな風に言葉を掛けられて、喜ばない女性は居ないと思う。
(夜会に誘うぐらいだもの)
多少なりとも好意を期待してしまうのが乙女心というものだろう。
(なんて、ジャンルカ殿下と婚約している間、『好意』とか『乙女心』なんて意識したことすら無かったけれど)
そんなことを思い出しながら、わたくしはふと笑みを漏らす。