そのままの君が好きだよ
「殿下! 陛下は本当に、わたくし達の婚約破棄をお認めになったのですか?」
「認めるさ。それが我が国の伝統だ。聖女には、聖女にしか出来ないことがあるだろう?」
殿下は淡々とそう口にする。胸がズキズキ痛んだ。
確かにわたくしには病気を治すことも、飢えを満たすこともできない。祈りが神に届くことも、国を護ることも出来ないのかもしれない。
「ですが……」
わたくしにできて、ロサリア様に出来ないことだってある筈だ。そうお伝えしたかったというのに、殿下はわたくしの前に手を広げ、首を大きく横に振った。
「正直僕は、新しい聖女が現れて安心したんだ」
「え……?」
「これで大手を振って君との婚約を破棄できる。――――ディアーナと一緒に居ると、僕は疲れるんだ」
そう言って殿下は大きなため息を吐いた。胸が引き裂かれそうな程に痛い。頭の中が真っ白になった。
殿下は虚ろな瞳でわたくしのことを見つめる。そこには一切の愛情はなく、憎しみにも似た何かが横たわっていた。
「認めるさ。それが我が国の伝統だ。聖女には、聖女にしか出来ないことがあるだろう?」
殿下は淡々とそう口にする。胸がズキズキ痛んだ。
確かにわたくしには病気を治すことも、飢えを満たすこともできない。祈りが神に届くことも、国を護ることも出来ないのかもしれない。
「ですが……」
わたくしにできて、ロサリア様に出来ないことだってある筈だ。そうお伝えしたかったというのに、殿下はわたくしの前に手を広げ、首を大きく横に振った。
「正直僕は、新しい聖女が現れて安心したんだ」
「え……?」
「これで大手を振って君との婚約を破棄できる。――――ディアーナと一緒に居ると、僕は疲れるんだ」
そう言って殿下は大きなため息を吐いた。胸が引き裂かれそうな程に痛い。頭の中が真っ白になった。
殿下は虚ろな瞳でわたくしのことを見つめる。そこには一切の愛情はなく、憎しみにも似た何かが横たわっていた。