そのままの君が好きだよ
「何だか……殿下と一緒に居ると調子が狂います」
ようやく口にできたのは、自分でも貶しているのか褒めているのか判じづらい、そんな言葉だった。
ジャンルカ殿下の婚約者だった時、心がこんな風に揺れ動くことは無かった。いつも淡々と必要なことだけをし、必要な言葉だけを交わして、気高く凛とあることが美徳だと思っていた。誰からも責められないよう、自分を取り繕っていた。
それなのに今のわたくしは、必死になって身に纏っていた脆いメッキを全て剥がされたような、そんな状態のように思う。
(ジャンルカ殿下から打ち明けられた婚約破棄の理由が、最初のキッカケではあるけど)
恐らく、一番の理由はそれとは違う。チラリとサムエレ殿下を覗き見れば、彼はゆっくりと目を細めた。
「そう? ――――そんなディアーナが俺は好きだけど」
サラリとそう口にして、サムエレ殿下が笑う。その途端、心臓がドキドキと脈打ち、頬が真っ赤に染まった。
ようやく口にできたのは、自分でも貶しているのか褒めているのか判じづらい、そんな言葉だった。
ジャンルカ殿下の婚約者だった時、心がこんな風に揺れ動くことは無かった。いつも淡々と必要なことだけをし、必要な言葉だけを交わして、気高く凛とあることが美徳だと思っていた。誰からも責められないよう、自分を取り繕っていた。
それなのに今のわたくしは、必死になって身に纏っていた脆いメッキを全て剥がされたような、そんな状態のように思う。
(ジャンルカ殿下から打ち明けられた婚約破棄の理由が、最初のキッカケではあるけど)
恐らく、一番の理由はそれとは違う。チラリとサムエレ殿下を覗き見れば、彼はゆっくりと目を細めた。
「そう? ――――そんなディアーナが俺は好きだけど」
サラリとそう口にして、サムエレ殿下が笑う。その途端、心臓がドキドキと脈打ち、頬が真っ赤に染まった。