そのままの君が好きだよ
「うん……それは俺も分かっている。
だけど、婚約を破棄される前のディアーナは、兄上のことを憎からず想っていただろうし、もしかしたら今でも情が残っているんじゃないかって……そう思うと怖くて堪らなかったんだ」
サムエレ様の想いに、わたくしの心は大きく震える。彼はわたくしの顔をまじまじと覗き込むと、熱っぽく瞳を揺らした。
「幻滅した? 俺が、こんなズルい人間だって分かって」
サムエレ様の言葉に、首を大きく横に振る。
幻滅なんてしない。する筈がない。
彼はホッとしたように息を吐くと、わたくしの手をギュッと握り直した。その途端、手のひらが心臓になってしまったかのように、熱を帯びてドキドキと鳴る。
「あの――――わたくし、サムエレ様にお伝えしたいことがあるんです」
言いながらわたくしは、自分の声が震えていることに気づいた。緊張で喉のあたりが痞えたような心地がする。表情は強張っていて、きっと可愛さの欠片も無いだろう。
(それでも)
どうしても今、わたくしの想いを伝えなければならない。ゴクリと唾を呑み込み、わたくしはサムエレ様を真っ直ぐに見つめた。
だけど、婚約を破棄される前のディアーナは、兄上のことを憎からず想っていただろうし、もしかしたら今でも情が残っているんじゃないかって……そう思うと怖くて堪らなかったんだ」
サムエレ様の想いに、わたくしの心は大きく震える。彼はわたくしの顔をまじまじと覗き込むと、熱っぽく瞳を揺らした。
「幻滅した? 俺が、こんなズルい人間だって分かって」
サムエレ様の言葉に、首を大きく横に振る。
幻滅なんてしない。する筈がない。
彼はホッとしたように息を吐くと、わたくしの手をギュッと握り直した。その途端、手のひらが心臓になってしまったかのように、熱を帯びてドキドキと鳴る。
「あの――――わたくし、サムエレ様にお伝えしたいことがあるんです」
言いながらわたくしは、自分の声が震えていることに気づいた。緊張で喉のあたりが痞えたような心地がする。表情は強張っていて、きっと可愛さの欠片も無いだろう。
(それでも)
どうしても今、わたくしの想いを伝えなければならない。ゴクリと唾を呑み込み、わたくしはサムエレ様を真っ直ぐに見つめた。