色褪せて、着色して。~悪役令嬢、再生物語~Ⅲ
女子会をしましょう。
頭の中で浮かぶ人物は2人いる。
一人は、太陽様。もう一人は、ローズ様。
太陽様が言った「俺が好きになった人は、皆不幸になります」という言葉が何度もリピートされている。
とは、いえ。考えたところで私がどうしてやることも出来ないわけだし。
もっぱら考えているのはローズ様の存在だ。
私は、ローズ様のことを何一つ知らない。
会って、もう少し世間話をしたいところだけれど…
「マヒル様、ご飯ですわ」
ソファーでゴロゴロしていた私にバニラが声をかける。
すっかり私の名前は「マヒル」で定着してしまった。
椅子に座るといつもよりも、おかずの品数が多いことに気づいた。
夕飯は体型を気にしてあまり沢山食べないようにしているのだが、
テーブルに並んでいるのはどれも野菜料理のように見える。
「あれ、今日って何かの記念日だっけ?」
思わずバニラに質問すると、バニラは待ってましたとばかりに目をキラキラさせて、こっちを見てくる。
「是非、召し上がってみてください」
バニラに言われ、手前に置いてあったサラダを口にすると。
シャクシャクとした食感は水菜だろうか。
ほうれん草のバターソテーにしても、スープにしても、いつもの野菜とは違うことにすぐ気づいた。
ねっとりとした野菜そのものの旨味と言えば、いいのだろうか。
「野菜、すっごく美味しい! いつもの野菜と違う!」
「流石、マヒル様。すぐに気づいていただきましたね! この野菜、近所で作られてるんですよ」
「へ?」
…近所という言葉に、まさか城下町まで抜け出したのかと驚いてしまう。
妖精であるバニラのことだ。王が管理する領地から抜け出せることぐらいたやすいはず。
自分がどんな顔をしていたのかわからないが、バニラは「領地の外には出てませんよ!」と慌てて否定する。
「領地内に畑があったんですよ。ここから馬車で20分ほどのところなんですけどね」
「バニラって本当に好奇心旺盛だよね」
私は根っからの面倒臭がりというか…どっちかといえばインドア派で。
しかも今住んでいるところは、立ち入り禁止区域が多くて、どこまでが入れて、どこまでが入れない場所なのかわからないので。私は、出かける際は同じ道を通ることしかしない。
それでも、物凄い偶然で国王に会う私は凄いのかもしれないな…と思った。
「私たち、妖精は土や木に触れて精気を養っているんです。だから、土の匂いは感じていたんですけど。まさか、畑があるとは思いませんでした」
また、妖精の勘っていうやつなのか…
咀嚼しながら、バニラの話を聴く。
「ビックリしたのは、そこで畑仕事をしている方たちが若い人達だったんですよ」
「そう」
「それで、話しているうちに野菜をおすそ分けしてもらって、今度遊びに来てくださいってご招待されちゃいました」
「……」
人見知りする自分と比べると、バニラは本当にアクティブで凄い。
羨ましくもあり、時々、唖然とさせられる。
「退屈な毎日が、少しでも破壊できるなら、良いと思いませんか?」
にっこりと笑ったバニラに。
この子は私のことを考えてくれているんだ…と気づいた。
「でもさ、遊びに行って畑仕事なんて手伝えないよ?」
「いえいえ! お茶会です。畑仕事なんてする必要なんてありませんよ」
大声で否定するバニラに、ちょっとだけ話に興味が湧いた。
一人は、太陽様。もう一人は、ローズ様。
太陽様が言った「俺が好きになった人は、皆不幸になります」という言葉が何度もリピートされている。
とは、いえ。考えたところで私がどうしてやることも出来ないわけだし。
もっぱら考えているのはローズ様の存在だ。
私は、ローズ様のことを何一つ知らない。
会って、もう少し世間話をしたいところだけれど…
「マヒル様、ご飯ですわ」
ソファーでゴロゴロしていた私にバニラが声をかける。
すっかり私の名前は「マヒル」で定着してしまった。
椅子に座るといつもよりも、おかずの品数が多いことに気づいた。
夕飯は体型を気にしてあまり沢山食べないようにしているのだが、
テーブルに並んでいるのはどれも野菜料理のように見える。
「あれ、今日って何かの記念日だっけ?」
思わずバニラに質問すると、バニラは待ってましたとばかりに目をキラキラさせて、こっちを見てくる。
「是非、召し上がってみてください」
バニラに言われ、手前に置いてあったサラダを口にすると。
シャクシャクとした食感は水菜だろうか。
ほうれん草のバターソテーにしても、スープにしても、いつもの野菜とは違うことにすぐ気づいた。
ねっとりとした野菜そのものの旨味と言えば、いいのだろうか。
「野菜、すっごく美味しい! いつもの野菜と違う!」
「流石、マヒル様。すぐに気づいていただきましたね! この野菜、近所で作られてるんですよ」
「へ?」
…近所という言葉に、まさか城下町まで抜け出したのかと驚いてしまう。
妖精であるバニラのことだ。王が管理する領地から抜け出せることぐらいたやすいはず。
自分がどんな顔をしていたのかわからないが、バニラは「領地の外には出てませんよ!」と慌てて否定する。
「領地内に畑があったんですよ。ここから馬車で20分ほどのところなんですけどね」
「バニラって本当に好奇心旺盛だよね」
私は根っからの面倒臭がりというか…どっちかといえばインドア派で。
しかも今住んでいるところは、立ち入り禁止区域が多くて、どこまでが入れて、どこまでが入れない場所なのかわからないので。私は、出かける際は同じ道を通ることしかしない。
それでも、物凄い偶然で国王に会う私は凄いのかもしれないな…と思った。
「私たち、妖精は土や木に触れて精気を養っているんです。だから、土の匂いは感じていたんですけど。まさか、畑があるとは思いませんでした」
また、妖精の勘っていうやつなのか…
咀嚼しながら、バニラの話を聴く。
「ビックリしたのは、そこで畑仕事をしている方たちが若い人達だったんですよ」
「そう」
「それで、話しているうちに野菜をおすそ分けしてもらって、今度遊びに来てくださいってご招待されちゃいました」
「……」
人見知りする自分と比べると、バニラは本当にアクティブで凄い。
羨ましくもあり、時々、唖然とさせられる。
「退屈な毎日が、少しでも破壊できるなら、良いと思いませんか?」
にっこりと笑ったバニラに。
この子は私のことを考えてくれているんだ…と気づいた。
「でもさ、遊びに行って畑仕事なんて手伝えないよ?」
「いえいえ! お茶会です。畑仕事なんてする必要なんてありませんよ」
大声で否定するバニラに、ちょっとだけ話に興味が湧いた。