色褪せて、着色して。~悪役令嬢、再生物語~Ⅲ
 言われるがまま、流れるようにルピナスと私は中に入る。
 ルピナスはすぐさまローズ様に抱きついた。
 ローズ様はルピナスを抱き上げる。

「また一人で勝手に来たのか?」
 ローズ様が言うと、ルピナスは泣きながら私を指さした。
「ハハッ。大人と来たから入れると思ったのかあ」
 よしよしとローズ様はルピナスの頭を撫でた。

 私とメグミ様は黙って2人を眺めている。
 何だか、私の役目は果たしたようだ。
「じゃあ、私はこれで…」
 頭をぺこりと下げると、
「イバラ姫もこっち来て」
 ローズ様に言われてしまった。
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