色褪せて、着色して。~悪役令嬢、再生物語~Ⅲ
 イバラ姫って誰だよと思っていると。
 メグミ様が「こちらです」と案内してくれて、初めて自分が(イバラ)だということを思い出した。

 門から離れて暫く歩くと庭園らしきところに辿り着いた。
 花壇があり、ベンチがあり。
 大きな木があった。
「ここだったら誰もいない」
 ローズ様はルピナス様を抱きかかえたまま、
 すっと、ルピナス様がかけているサングラスを外した。
 思わず、「あっ」と声が漏れてしまう。

 泣き腫らした目はあまりにも美しかった。
 右目はカレン様と同じ紫色の瞳。
 左目はローズ様と同じ青い瞳だった。

 サングラスを外したことで初めて見たルピナスの顔。
 ぱっと見はカレン様に似ているけど、
 目元はローズ様に似ているのだろうか。
 私は蘭様に会ったことがないから、わからないけど。
 もしかしたら、目元は蘭様に似ているのかもしれない。

 ルピナスの顔をじっと見ていたら。
 ルピナスが私を見て、にっこりと笑った。
「きれい…」
 こんなに美しい子だったんだ。
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