色褪せて、着色して。~悪役令嬢、再生物語~Ⅲ
 被害者?
 カレン様の口から出た言葉に、固まってしまった。
 蘭様はうつむいて黙り込んでしまう。

 紫色の瞳の奥で蠢いているのは強い怒りなのか。
 カレン様はローズ様のことが嫌いなのか? 不仲なの?

 結局、私はカレン様にピアノを教えるハメになってしまう。
 こういうとき、王族の力というのは偉大だ。
 こっちが強く拒否することなんて出来ない。
 蘭様はどうやら、私のことをお気に召さないみたいで最後まで睨みつけていたけど。
 奥さんの言うことは聞き入れてやりたいみたい。
 仲良しなんだろうな。蘭様とカレン様は。

 過去に起きたイチゴの事件のせいか。
 今回、子供たちにピアノを教えなくていいって拒絶されても。
 さほど傷つかなかった。
 ぶっちゃけ、スズランは面倒臭かった部分があるから。
 それから解放されてラッキー…と思うようにしよう。
 うん、ポジティブに生きなきゃやってられない。
 ルピナスに会えなくなるのはさびしいけど。
 一生会えなくなるわけじゃないし。
 また、どこかで会えればいいな。
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