色褪せて、着色して。~悪役令嬢、再生物語~Ⅲ
 カレン様は不思議な空気感を持つ。
 初めて会ったとき、どこかバニラに似ているって思った。
 人間離れしたような…どこか神秘的な雰囲気があって。
 ふわふわしていて、けがれていないんだと思った。

 本人自身、美人だしカッコいい旦那さんがいて素敵な子供たちがいる。
 私は王家の内情なんてこれっぽっちも知らないけど。
 キラキラしているカレン様を見ていると、苦手だなと思うようになった。
 嫉妬とは違うと思う。
 比べるにしても次元が違う人だけれど。
 なんというか…面倒臭そうだなって。

「マヒル様にも苦手な方っているのですね」
 夕食時、ぽつぽつとバニラに愚痴をこぼしていると。
 バニラはニコニコと笑って言った。
「私は良い子じゃないもの。苦手な人のほうが多いわ」
「いえ、マヒル様は心が綺麗です。だから、あのテイリー様と仲良く出来たのでしょう?」
 テイリー…という言葉に、そういえば元気にしているかなと思い出した。
 バニラはテイリーにいじめられていたせいか心からテイリーのことを嫌っているけど。
 私はそんなこと一度も思わなかった。

(けが)れを知らない天使にしか見えない…」
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