色褪せて、着色して。~悪役令嬢、再生物語~Ⅲ
カレン様はこっちに気づいたのか、応援団並の大声で叫ぶと。
ドレス姿にも関わらず、全速力でこっちに走ってきた。
うわぁ~と面倒臭い顔をするが、カレン様は気づくはずもない。
「先生、お約束していたのにごめんなさい。遅れてしまって」
「え? 何…が」
カレン様は凄い力で私の手を掴んだ。
後ろでぼおーと立っていたオッサン騎士が怒ったように、こっちへ歩み寄ってくる。
ああ、面倒臭いことになってしまったぁ…
50代、バーコードハゲのおっさん。
態度からするに多分、偉い人だ。
背が低いのでじろりと私を見上げる。
「私はまだ話し中なのだが。どちら様で」
おまえこそ、誰だよ!!
心で叫ぶ。
「わたくし、こちらのマヒル様と待ち合わせをしておりましたの。ですので、失礼いたしますわ」
ぎゅっとカレン様は掴む力を強めた。
え、約束なんてしてませんけど。
常識に考えて夜中に何で約束するんだよぉ。
おっさん騎士は「まひるぅ? なんだ、そのふざけた名前は…」とこっちを睨む。
ふざけてませんけど…
「もしや、マヒルというのは。陛下の心を取り乱した泥棒猫か?」
「泥棒猫…私が?」
何で、初対面のオッサンにそんなこと言われなきゃいけないのか。
おっさん騎士は頭のてっぺんからつま先までジロジロ私を見ると、
「貴様のような女がいるから王家が乱れるのだ。カレン殿、戻りますぞ」
ぎちり…とカレン様は掴んでいる力を強める。
この人、握力強すぎじゃない?
あからさまに、カレン様が私に助けを求めているのはわかる。
関わりたくない。
でも、この状況はどうしようもない。
カレン様とこのモブ野郎のどっちを取るかといえば…
私はにっこりとモブ野郎に微笑む。
「王家が乱れるかどうかは、国王に聞いてみましょうか? 近くにローズ様の側近がいることですし。お呼びしましょうか?」
とびっきりの皮肉を込めて言うと。
モブ野郎は、あわあわと慌て始めた。
「今日はこれくらいにしておきますが、カレン殿、立場をわきまえてください」
と言ってモブ野郎は暗闇に消えて行った。
ドレス姿にも関わらず、全速力でこっちに走ってきた。
うわぁ~と面倒臭い顔をするが、カレン様は気づくはずもない。
「先生、お約束していたのにごめんなさい。遅れてしまって」
「え? 何…が」
カレン様は凄い力で私の手を掴んだ。
後ろでぼおーと立っていたオッサン騎士が怒ったように、こっちへ歩み寄ってくる。
ああ、面倒臭いことになってしまったぁ…
50代、バーコードハゲのおっさん。
態度からするに多分、偉い人だ。
背が低いのでじろりと私を見上げる。
「私はまだ話し中なのだが。どちら様で」
おまえこそ、誰だよ!!
心で叫ぶ。
「わたくし、こちらのマヒル様と待ち合わせをしておりましたの。ですので、失礼いたしますわ」
ぎゅっとカレン様は掴む力を強めた。
え、約束なんてしてませんけど。
常識に考えて夜中に何で約束するんだよぉ。
おっさん騎士は「まひるぅ? なんだ、そのふざけた名前は…」とこっちを睨む。
ふざけてませんけど…
「もしや、マヒルというのは。陛下の心を取り乱した泥棒猫か?」
「泥棒猫…私が?」
何で、初対面のオッサンにそんなこと言われなきゃいけないのか。
おっさん騎士は頭のてっぺんからつま先までジロジロ私を見ると、
「貴様のような女がいるから王家が乱れるのだ。カレン殿、戻りますぞ」
ぎちり…とカレン様は掴んでいる力を強める。
この人、握力強すぎじゃない?
あからさまに、カレン様が私に助けを求めているのはわかる。
関わりたくない。
でも、この状況はどうしようもない。
カレン様とこのモブ野郎のどっちを取るかといえば…
私はにっこりとモブ野郎に微笑む。
「王家が乱れるかどうかは、国王に聞いてみましょうか? 近くにローズ様の側近がいることですし。お呼びしましょうか?」
とびっきりの皮肉を込めて言うと。
モブ野郎は、あわあわと慌て始めた。
「今日はこれくらいにしておきますが、カレン殿、立場をわきまえてください」
と言ってモブ野郎は暗闇に消えて行った。