色褪せて、着色して。~悪役令嬢、再生物語~Ⅲ
 カレン様は、それから鬱憤がたまっていたのか。
 延々と蘭様の愚痴をこぼし始めた。
 私は眠かったので半分聞いていなかったけど。
 バニラは目を見開いて「まあ」「そうなのですね」とオーバーリアクションで対応したので。
 カレン様は嬉しくなって更に話がヒートアップした。

 カレン様が喋りくたびれて眠ってしまったのは明け方だった。
 ソファーで眠ってしまい、このまま居られたら困ったなと思ったけど。
 バニラが「朝食出来ましたー」と言うとパチリと目を覚まして。
 遠慮なく、バニラの作った朝食を食べて。
 子供たちが待っているからと言って、帰って行った。

 カレン様はすっきりとした顔で帰って行ったけど。
 私はすっかりと寝不足だ。
「人は弱っているとき、誰か側にいてもらいたいし、自分の話を聴いてもらいたいものです」
 バニラは疲れた顔を見せることなく、カレン様を乗せた馬車を見送る。
 遠ざかっていく馬車を見送りながら、ふわぁぁと私はあくびをした。
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