色褪せて、着色して。~悪役令嬢、再生物語~Ⅲ
蘭様による最大級の嫌がらせに一度は絶望したけれど。
絶望したままというのは、蘭様の思うツボだと考える。
ここまでの度重なる不幸に発狂するのを通り越して。
どういうわけか冷静に物事を受け止められる。
一人じゃないからかな?
バニラが側にいてくれるから。
きっと味方がいるお陰。
「マヒル様って、見かけによらず多才ですわね」
彼女なりに遠回りして言った誉め言葉に苦笑する。
根っからのお嬢様気質の私が、トンカチを持って釘打ちをしていたら誰でも驚くだろう。
調律師としてのスペックがあるせいか、ものづくりは得意なのだ。
「まあ、多才と言っても。家事全般は一切できないけどね」
私とバニラ2人だけの作業はあまりにも先が見えないけど。
棟梁は人情に厚い人で、蘭様からの監視の目をかいくぐっては。
堂々と手伝ってくれるから有難い。
50代の棟梁はサングラスをかけ、ベースボールキャップを被りただならぬ雰囲気を出していた。
寡黙で、怖そうだけれど的確な指示で。どうすればいいか段取りを丁寧に教えてくれた。
文句言うわりには、マリアちゃんも心配してたまに見にきてくる。
私がツナギ姿にノコギリ持っているのを見て「マジかよ!?」と驚いていた。
まあ、面倒見の良い性格というのを、バニラはすぐに見抜いたのか。
マリアちゃんの前でわざとよろけたりするという演技をしてみたところ。
「しょうがねえなあ。貸せ」と木材を運んでくれたり手伝ってくれるという。
…なんやかんやで良い人だ。
カスミ様の屋敷で働く男の子4人は毎日のようにやって来ては。
手伝ってくれるようになった。
どうして手伝ってくれるんだろうとカイくんに訊いたら。
「マヒル様がキレイだから」
と、スケッチブックに書いてくれた。
うん。悪い気はしない。
建築中の間。
サンゴさんは快く「うちで暮らせばいい」と言ってくれた。
恐る恐る「サンゴさんが王家に罰せられることはないんでしょうか?」と言うと。
「あ? 俺に命令できるわけないだろ」
と、言い切った。
サンゴさんと王家で一体何があったのか。
わからないけど、気にしても仕方ないか。
絶望したままというのは、蘭様の思うツボだと考える。
ここまでの度重なる不幸に発狂するのを通り越して。
どういうわけか冷静に物事を受け止められる。
一人じゃないからかな?
バニラが側にいてくれるから。
きっと味方がいるお陰。
「マヒル様って、見かけによらず多才ですわね」
彼女なりに遠回りして言った誉め言葉に苦笑する。
根っからのお嬢様気質の私が、トンカチを持って釘打ちをしていたら誰でも驚くだろう。
調律師としてのスペックがあるせいか、ものづくりは得意なのだ。
「まあ、多才と言っても。家事全般は一切できないけどね」
私とバニラ2人だけの作業はあまりにも先が見えないけど。
棟梁は人情に厚い人で、蘭様からの監視の目をかいくぐっては。
堂々と手伝ってくれるから有難い。
50代の棟梁はサングラスをかけ、ベースボールキャップを被りただならぬ雰囲気を出していた。
寡黙で、怖そうだけれど的確な指示で。どうすればいいか段取りを丁寧に教えてくれた。
文句言うわりには、マリアちゃんも心配してたまに見にきてくる。
私がツナギ姿にノコギリ持っているのを見て「マジかよ!?」と驚いていた。
まあ、面倒見の良い性格というのを、バニラはすぐに見抜いたのか。
マリアちゃんの前でわざとよろけたりするという演技をしてみたところ。
「しょうがねえなあ。貸せ」と木材を運んでくれたり手伝ってくれるという。
…なんやかんやで良い人だ。
カスミ様の屋敷で働く男の子4人は毎日のようにやって来ては。
手伝ってくれるようになった。
どうして手伝ってくれるんだろうとカイくんに訊いたら。
「マヒル様がキレイだから」
と、スケッチブックに書いてくれた。
うん。悪い気はしない。
建築中の間。
サンゴさんは快く「うちで暮らせばいい」と言ってくれた。
恐る恐る「サンゴさんが王家に罰せられることはないんでしょうか?」と言うと。
「あ? 俺に命令できるわけないだろ」
と、言い切った。
サンゴさんと王家で一体何があったのか。
わからないけど、気にしても仕方ないか。