色褪せて、着色して。~悪役令嬢、再生物語~Ⅲ
朝から晩までボロ屋を建て直すのに働いて。
ぼーとしながら、焼いたお肉を口に放り込む。
一週間経てば、慣れたもので。
私、バニラ、サンゴさん、カイくんの4人で夕飯を食べている状況で。
この生活に違和感もなくなってきている。
「姫君が男みたいな格好しているのを見た時はヤベえなこいつって思ったけど。凄いな、あんたら」
サンゴさんが褒めてくれるので、えへへと笑う。
カイくんはフォークを置くと。
スケッチブックに何かを書いて。サンゴさんに見せる。
「ああ、そうだな。おまえは本当に姫君のことを気に入ったんだな」
時々、2人が目の前でやりとりしているのを見ていると何を話しているんだろうと思うけど。悪口を言われているようではないようだ。
「マヒル様、建設作業も大事なのはわかっていますが。くれぐれもお怪我のないように」
バニラがびしっと注意する。
「うん。そうだね。でも、もう…ピアノが手元にあるわけじゃないし。多少は怪我しても問題はないって」
自嘲して自分の手のひらを見る。
もう一週間も弾いていない。
一日でも休めば指は硬くなってしまう。
「ピアノ?」
会話を聞いていたサンゴさんがこっちを見る。
「ああ、サンゴさんには言ってませんでしたっけ? 私、王家専属のピアニストだったんです」
カイくんは、驚いた表情をしてスケッチブックに何かを書いてサンゴさんに見せた。
サンゴさんは首を横に振って「駄目だ」と言った。
夕食を終え、シャワーを浴びて部屋に戻ると。
バニラが小声で言った。
「どうやら、この家にはピアノがあるようですね」
「そうなの? ああ、だから。さっきカイくんが…」
さすがに見知らぬ人間に触らせたくないのだろう。
泊まらせてくれているだけでも有難いというのに。ピアノを弾かせてくださいなんて言えない。
窓から入ってくる風と共に虫の音色が聞こえてくる。
眠る前が一番、ほっとする。
「それにしても、バニラは本当にカイくんの思っていることがわかるんだね」
喋ることのできないカイくんがスケッチブックに書いている間に、
バニラはすぐにカイくんの言いたいことを言い当ててしまう。
「正確にではないですけど。カイ様のように心の綺麗な方の胸の内はわかります」
「…え、それも妖精の力?」
驚いて質問したけど、バニラは微笑むだけで答えてくれなかった。
妖精がいるだけで、こんなに力強いものなんて。
「魔法使えるより、妖精の力のほうが凄すぎるよね」
ベッドに横になって呟いた。
ぼーとしながら、焼いたお肉を口に放り込む。
一週間経てば、慣れたもので。
私、バニラ、サンゴさん、カイくんの4人で夕飯を食べている状況で。
この生活に違和感もなくなってきている。
「姫君が男みたいな格好しているのを見た時はヤベえなこいつって思ったけど。凄いな、あんたら」
サンゴさんが褒めてくれるので、えへへと笑う。
カイくんはフォークを置くと。
スケッチブックに何かを書いて。サンゴさんに見せる。
「ああ、そうだな。おまえは本当に姫君のことを気に入ったんだな」
時々、2人が目の前でやりとりしているのを見ていると何を話しているんだろうと思うけど。悪口を言われているようではないようだ。
「マヒル様、建設作業も大事なのはわかっていますが。くれぐれもお怪我のないように」
バニラがびしっと注意する。
「うん。そうだね。でも、もう…ピアノが手元にあるわけじゃないし。多少は怪我しても問題はないって」
自嘲して自分の手のひらを見る。
もう一週間も弾いていない。
一日でも休めば指は硬くなってしまう。
「ピアノ?」
会話を聞いていたサンゴさんがこっちを見る。
「ああ、サンゴさんには言ってませんでしたっけ? 私、王家専属のピアニストだったんです」
カイくんは、驚いた表情をしてスケッチブックに何かを書いてサンゴさんに見せた。
サンゴさんは首を横に振って「駄目だ」と言った。
夕食を終え、シャワーを浴びて部屋に戻ると。
バニラが小声で言った。
「どうやら、この家にはピアノがあるようですね」
「そうなの? ああ、だから。さっきカイくんが…」
さすがに見知らぬ人間に触らせたくないのだろう。
泊まらせてくれているだけでも有難いというのに。ピアノを弾かせてくださいなんて言えない。
窓から入ってくる風と共に虫の音色が聞こえてくる。
眠る前が一番、ほっとする。
「それにしても、バニラは本当にカイくんの思っていることがわかるんだね」
喋ることのできないカイくんがスケッチブックに書いている間に、
バニラはすぐにカイくんの言いたいことを言い当ててしまう。
「正確にではないですけど。カイ様のように心の綺麗な方の胸の内はわかります」
「…え、それも妖精の力?」
驚いて質問したけど、バニラは微笑むだけで答えてくれなかった。
妖精がいるだけで、こんなに力強いものなんて。
「魔法使えるより、妖精の力のほうが凄すぎるよね」
ベッドに横になって呟いた。