色褪せて、着色して。~悪役令嬢、再生物語~Ⅲ
 騎士団って、何万人もいるイメージだけど。
 国家騎士団の主要な人物は百人を切っているそうで。
 ジョイさんやマリアちゃんが以前から太陽様を知っていたということに驚く。
 …驚いてばっかりな私。

 結局、棟梁へ自らお酒を持っていくことは諦めて。
 太陽様にお酒を持って行ってもらうことにした。
「了解っす。他にもどんどん挨拶回りしましょー」
 と笑顔で言ってのける太陽様。

 サンゴさんとカイくんの家にお礼に言ったときには。
 カイくんが「こいつ?」とスケッチブックに大きく書いて見せたので。思わず吹き出してしまった。
「伝説のサンゴ様に会えるなんて光栄です」
 太陽様はサンゴさんの手を取って、勝手に握手している。
 サンゴさんは、般若のような表情をして太陽様を見ている…が、太陽様は気づいていない。
「あいつに酷いことされたら俺に言えよ」
「あいつに愛想尽かしたら、僕が旦那さんになってあげる」
 2人がこそっと言ったので「ありがとう」とお礼を言った。

 別に、カスミ様のところはお礼に行きたくなかった。
「では、マヒル様はお留守番をお願いします」
 あんなにユキさんに対して怒っていたくせに、バニラは太陽様と一緒に秘密の館へと向かって行った。
 ベッドに大の字になって。
 これからどうなるんだろう…と考えてしまう。
 どうなる…と言っても。なるようにしか、ならないんだろうな。
 もう、祖国には戻らないし、この領地からは出ることもない。

 今、自分のすべきことは…
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