Restart〜二度目の恋もきみと
「はい。萌香さんの方が上杉桜良なんかより、何百倍も魅力的ですよ。」
宇佐美は薄い笑みを浮かべて言った。
宇佐美には私が会社で専務の秘書をしているということで上杉桜良にいじめや嫌がらせを受けていたと嘘を言っている。
そして、その仕返しの為に、協力してほしいと頼んだのだ。
「くやしいっ。私にはあんなに嫌がらせしといて自分だけ幸せになろうなんて...」
私は涙を流しながら、唇を噛み締めた。
上杉桜良から、嫌がらせなんて受けたことなんてない。だけど、嘘をつき続けていると本当に嫌がらせを受けてきたような錯覚に陥ってくる。
あの女さえ、いなければいいのに...
あの女さえいなければ、私はこんな惨めな思いをすることはなかった...
きっと今頃は皆藤専務と結婚して皆が羨むような生活を送っていたはずだ...
すると、宇佐美は私の頬にそっと手を触れ
「上杉桜良がいなくなれば、萌香さんは幸せになれますか?」
不気味に微笑んだ。
「えっ...?」
その不気味な笑みに私はゾクリと背筋が凍った。
「この復讐がうまくいけば、晴れて僕たちも付き合える。
萌香さんはそう言った...」
視点の定まらないその瞳に、私は目を反らすことができずゴクリと息を飲んだ。