Restart〜二度目の恋もきみと
「ああ。その宇佐美って男なんでも、探偵事務所で働いていた時に夫の浮気調査で相談にきた女の子の依頼を受けているうちに自分に好意があると勘違いしてストーカー行為を繰り返したらしい。
しかも、女の子がそのことを警察に通報したら、逆上して
刃物で脅して自宅に監禁したとか...」

「はっ?!刃物って...」

俺はその話に背筋にぞっと冷たいものが走る。

「その時は旦那さんが帰宅しない奥さんに気づいて警察に連絡して
携帯のGPS情報から場所が特定できたから、
監禁しただけで女の子に怪我はなかったみたいだけど。」

「刃物で脅して監禁しといて逮捕されなかったのか?」

「その時は相手に怪我がなかったから、刑期も1年ほどで出てきたみたいだ。
今は無職らしいけど、探偵事務所で働いていると偽って相談に乗ると言って街で女の子を引っ掛けてるらしい。
それにたまたまその秘書の女の子が引っ掛かったんだろうな。
かなりやばいやつなのは間違いないよ」

「まじかよ..」

俺は項垂れるように頭を抱えた。

その時、俺のテーブルの上に置いていたスマートフォンが
震えて俺は思わずビクッと体を震わせた。

携帯のディスプレイに目を移すと
そこには黒木の名前が表示されていた。

なんだ、黒木か...こんなときになんだ..

俺は通話ボタンを押して「もしもし」と不機嫌に答えた。
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