君に、ブルースターの花束を
婚約者のソフィア・グレンジャーが死んだ。敵兵に胸を撃たれ、即死だった。その報告を肩を震わせながら言った部下に対し、陸軍少佐であるジークフリード・バイルシュミットは「そうか」としか言わなかった。
部下が張ったテントを一歩出れば、硝煙の臭いが鼻につく。地面には敵のものなのか味方のものかわからない血が飛び散り、辺りは銃弾や爆撃で荒らされていた。そう、ここは戦場である。
「ソフィア・グレンジャー……」
こんな戦場には不似合いなほど美しい青空をジークフリートは眺める。命を落とした婚約者の名前を呟くも、その瞳からは一筋の涙すら溢れない。
懐から押し花を取り出す。ソフィアが戦場へ行くことになったジークフリードにお守りとして渡してくれたものだ。星のような形をした水色のブルースターの花だ。
「ソフィア・グレンジャー……」
もう一度名前を呟く。だが、心は何も揺れ動くことはない。ジークフリードは、命を落としたソフィアに何も感じていないのだ。
部下が張ったテントを一歩出れば、硝煙の臭いが鼻につく。地面には敵のものなのか味方のものかわからない血が飛び散り、辺りは銃弾や爆撃で荒らされていた。そう、ここは戦場である。
「ソフィア・グレンジャー……」
こんな戦場には不似合いなほど美しい青空をジークフリートは眺める。命を落とした婚約者の名前を呟くも、その瞳からは一筋の涙すら溢れない。
懐から押し花を取り出す。ソフィアが戦場へ行くことになったジークフリードにお守りとして渡してくれたものだ。星のような形をした水色のブルースターの花だ。
「ソフィア・グレンジャー……」
もう一度名前を呟く。だが、心は何も揺れ動くことはない。ジークフリードは、命を落としたソフィアに何も感じていないのだ。
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