遠き記憶を染める色
⑳彼からの更なる告白、そして衝撃
彼からの更なる告白、そして衝撃
「サダト兄ちゃん、私はベッドであなたが最後までいけなくても平気よ。あなたの愛し方を受け止めるわ!できる、私には…」
「流子ちゃん…」
「だから、私…、知りたいの。永島さんは、”それ”じゃあ”無理”だってことで去っていったのね?」
「…ああ、そうだよ。初めは”水の中”も刺激があってって、むしろ乗り気だったんだけど…。最終的には、ベッドでも普通に愛し合えないんじゃ、やっていけないってね…」
「彼女からそう言われたの、いつ頃?」
サダトはどうやら、答えるのを躊躇している様子だった。
だが、しばらく間をおくと、彼は流子の目を見つめて言いきった。
そしてそれは、流子の予想していた言葉通りであった。
***
「結構、早い時期だった。最初は、そのうちできるようになるよって捉え方してくれてたんだけど…。でも、大体、3回に2回はダメでさ…。やっぱり、正常じゃないでしょって言われて、あなたとは無理よってなった」
「でも、二人は結婚前提って段階まで行ってたんでしょ?」
サダトは小さく「うん」と神妙な顔つきで頷くだけだった。
すでに、流子が言わんとするところは察していたのだが···。
「二人が結婚しそうだって報道は1年以上前だよ!彼女から無理出しされて、すぐ別れなかったの?」
「…あの人、二人の年の差交際が発覚してすぐに破局ってことじゃあ、お互いイメージダウンにつながるから、しばらくは関係が続いてるように装っておこうって提案してきたんだ。それで、世間的には2年以上の仲だったってことになってる。そういうことだよ、流子ちゃん…」
「やっぱりだ‼じゃあ、お兄ちゃんたち、事実上は交際が終わってるのに、1年以上、世間にはそれ、伏せてたんだね⁉」
流子の口調は後段では一転、優しい物言いになっていた。
***
「ああ、キミの言う通りだよ。認める…。流子ちゃんにも、メールとかでは、結果的にウソついてたことになるな。すまない…」
「サダト兄ちゃん…、正直に言って。あの人、時代劇物の映画に主役級で出演して、賞もらったよね。その直前でしょ、二人が別れたって報道されたの?」
「うん…」
「これは私の推測だけど、あの人、大きな役を得られたからもう公表してもいいやって思ったんじゃない?」
「どういうことだい、流子ちゃん…」
「永島弓子は、今まで何人かの年下の、それもアイドル系の男性と交際した経験を持っていたわ。その度に話題になって、映画やドラマで人気が出た。逆に、その前は低迷してた感じだと思う。…お兄ちゃんとの仲が話題に上る前なんか、よく週刊誌で凋落ぶりが出てた記憶があるもん。なら、今度もうんと年下のイケメンと浮名を流せば話題になって世間に健在ぶりをアピールできる…。その勢いで、また映画とかで大役も射止められるって…。確かにあなたのことが好きだったとは思うけど、そんな下心からってのもあったのかなって勘ぐれるよ!」
「…」
「確かに永島弓子だって、あなたを愛してたでしょうけど、性的な問題で結婚前提が白紙になったあとも自分の都合と目論みがあったからでしょう?で、あなたに口合わせを強要したのよ。…ゴメン、私にはそう思えてならないよ、サダト兄ちゃん…」
流子は、サダトが自分の推測を丸々認めないだろうとは思った。
だが、言わずにはいられなかったのだ。
あまりにも彼が不憫で…。
***
「確かに、あの人にはそういう気持ちがあったとは思う。でも、オレも同意した訳だし、事務所にも彼女の言うことはもっともだってことでさ。やっぱ、それが芸能界ってことだし。…でも、流子ちゃんの気持ちは嬉しいよ。ありがとうな」
「サダト兄ちゃん…、私はあの人とは違うから!まだ高校生で大人の女性に比べれば全然だけど、あなたのことは誰よりも…」
ここで流子は涙をこらえきれず、思わず正面のサダトに抱きつき、泣き崩れた…。
そして、胸の中の中でこう呟くのだった。
”あの女、許せない‼”と…
「サダト兄ちゃん、私はベッドであなたが最後までいけなくても平気よ。あなたの愛し方を受け止めるわ!できる、私には…」
「流子ちゃん…」
「だから、私…、知りたいの。永島さんは、”それ”じゃあ”無理”だってことで去っていったのね?」
「…ああ、そうだよ。初めは”水の中”も刺激があってって、むしろ乗り気だったんだけど…。最終的には、ベッドでも普通に愛し合えないんじゃ、やっていけないってね…」
「彼女からそう言われたの、いつ頃?」
サダトはどうやら、答えるのを躊躇している様子だった。
だが、しばらく間をおくと、彼は流子の目を見つめて言いきった。
そしてそれは、流子の予想していた言葉通りであった。
***
「結構、早い時期だった。最初は、そのうちできるようになるよって捉え方してくれてたんだけど…。でも、大体、3回に2回はダメでさ…。やっぱり、正常じゃないでしょって言われて、あなたとは無理よってなった」
「でも、二人は結婚前提って段階まで行ってたんでしょ?」
サダトは小さく「うん」と神妙な顔つきで頷くだけだった。
すでに、流子が言わんとするところは察していたのだが···。
「二人が結婚しそうだって報道は1年以上前だよ!彼女から無理出しされて、すぐ別れなかったの?」
「…あの人、二人の年の差交際が発覚してすぐに破局ってことじゃあ、お互いイメージダウンにつながるから、しばらくは関係が続いてるように装っておこうって提案してきたんだ。それで、世間的には2年以上の仲だったってことになってる。そういうことだよ、流子ちゃん…」
「やっぱりだ‼じゃあ、お兄ちゃんたち、事実上は交際が終わってるのに、1年以上、世間にはそれ、伏せてたんだね⁉」
流子の口調は後段では一転、優しい物言いになっていた。
***
「ああ、キミの言う通りだよ。認める…。流子ちゃんにも、メールとかでは、結果的にウソついてたことになるな。すまない…」
「サダト兄ちゃん…、正直に言って。あの人、時代劇物の映画に主役級で出演して、賞もらったよね。その直前でしょ、二人が別れたって報道されたの?」
「うん…」
「これは私の推測だけど、あの人、大きな役を得られたからもう公表してもいいやって思ったんじゃない?」
「どういうことだい、流子ちゃん…」
「永島弓子は、今まで何人かの年下の、それもアイドル系の男性と交際した経験を持っていたわ。その度に話題になって、映画やドラマで人気が出た。逆に、その前は低迷してた感じだと思う。…お兄ちゃんとの仲が話題に上る前なんか、よく週刊誌で凋落ぶりが出てた記憶があるもん。なら、今度もうんと年下のイケメンと浮名を流せば話題になって世間に健在ぶりをアピールできる…。その勢いで、また映画とかで大役も射止められるって…。確かにあなたのことが好きだったとは思うけど、そんな下心からってのもあったのかなって勘ぐれるよ!」
「…」
「確かに永島弓子だって、あなたを愛してたでしょうけど、性的な問題で結婚前提が白紙になったあとも自分の都合と目論みがあったからでしょう?で、あなたに口合わせを強要したのよ。…ゴメン、私にはそう思えてならないよ、サダト兄ちゃん…」
流子は、サダトが自分の推測を丸々認めないだろうとは思った。
だが、言わずにはいられなかったのだ。
あまりにも彼が不憫で…。
***
「確かに、あの人にはそういう気持ちがあったとは思う。でも、オレも同意した訳だし、事務所にも彼女の言うことはもっともだってことでさ。やっぱ、それが芸能界ってことだし。…でも、流子ちゃんの気持ちは嬉しいよ。ありがとうな」
「サダト兄ちゃん…、私はあの人とは違うから!まだ高校生で大人の女性に比べれば全然だけど、あなたのことは誰よりも…」
ここで流子は涙をこらえきれず、思わず正面のサダトに抱きつき、泣き崩れた…。
そして、胸の中の中でこう呟くのだった。
”あの女、許せない‼”と…