遠き記憶を染める色
㉘少女の思惑
少女の思惑
現役アイドルグループ、レッツロールのメンバーである甲田サダトの突然死…。
こと衝撃度に関しては、著名人の死としても前例を見ないインパクトを世間に与えたと言える。
東京湾で漂流していたサダトの死体が下半身の衣服は全く纏っておらず、局部が切断された状態で発見された第一報が公になると、まさに日本中が耳を疑った。
そして巷では、新たなその後の事実が明るみに出るたび、驚愕することにる…。
***
まず、サダトの死が発覚した翌日には、家族と所属事務所に向けた”遺書らしきワープロ文書”が残されていたと明かされ、誰もがその死は自殺と結論付けたが…。
捜査当局は、その時点でも自殺他殺両面の可能性を否定しない旨を表明したことで、人々はかえって様々な憶測を駆り立て、SNSやネット等に尾ひれ背びれを付して流布させる現象が起こったのだ。
さらに事件発覚後3日目…、サダトの切断された”局部”が発見されたとの報道が成されるに至って、もはや甲田サダトの死はオカルト、都市伝説の括りに流れつく。
そう…、サダトの失われた”下半身の一部”は、千葉県南端、大岬沖で回収されたのだ…。
幼きサダトが潮に呑まれて性的トラウマを産み付けられたであろう、他ならぬ、異次元の渦が口を開くと言い伝えられる、あの浦潮が隆起する付近であったのだから!
この事実がテレビのワイドショーで衝撃的に伝えられると、もはやネット上ではひとつの既成事実が一夜で伝説と化し、それは翌日の各局ワイドショーが一斉に取り上げる事態となったのだ。
***
”…昨日、故甲田サダトさんの切断された局部と見られる男性性器が発見されたのは、ここ千葉県房総半島南端に位置する大岬沖の海上でした。…実は、この大岬は生前、甲田さんの親類が嫁いだ場所ということで、レッツロールの甲田サダトさんが幼少期より、よく遊びに来ていたそうなんです…”
”ああ、現場の○○さん…!じゃあ、甲田さんの局部が発見された場所は、甲田さんの、いわば縁の深い地だったと…。それは、やはり潮の流れとかそういった関係なんでしょうかね?”
***
”…ええ、そういった現象だと思われるのですが…、客観的な事実として、甲田さん、8月の上旬に4年ぶりでこの大岬の親類を訪れていたそうなんです。そのことは、地元の方々の多くが証言されていたので、まず間違いないようなんですが、さらにですね…”
”現場の○○さーん…、甲田さんが大岬を訪れた際、何か…、今回自殺か濃厚と見られる突然の死と、何か関連がある出来事とかあったんったですかねー?”
”はい…、地元の方たちのお話では、甲田さんは中学生時代、大岬沖で親類の漁船に同乗して沖つりを体験していた際、船から転落して潮に呑み込まれ、あやうく死にかける事故に遭ったそうなんです。…それで、地元の方はもしかすると、その時のトラウマからどこか心的障害を負って、今回一部報道にある、特異な性癖を苦に自殺したその要因がこの時の体験からではないかと…。ここ大岬では、もっぱらそう言った見解が飛びかっているらしいんです…”
***
”なるほど‥。あのう…、現場の○○さーん、実はスタジオでも、昨日の”発見”を受けて、ネットとかでも様々な説が流れてるらしいって話になってるんですよ。…甲田さんが溺れかけた海って、地元では浦潮って言って、特殊な潮の渦ができる場所らしいんですが、実際、甲田さんの局部が浮遊していた場所はその辺りってこと何でしょうかね?"
”はい…、これは海上保安庁からの聴取なんですが、どうやら、その場所とは遠くないとのことです!”
”そうですか…。ええとねえ、現場の○○さん。…その他にも昨夜からSNSを含めたネット上の声ではですね…、8月に大岬へ赴いた甲田さんは、遠い親類の女子高校生と抱きあっていたと…。まあ、これはこちらも完全な憶測になりますが、死を決意していたかもしれない時期に、心を交わしていた少女がいたとしら、なんでまた…、甲田さんはああいった命の断ち方をって…。どうなんですかね…。大岬の地元を取材して、その辺りの話で何か情報とか入ってませんかね?”
***
”はい‥!今回、ネット上でも様々な情報が交錯しているのは、この大岬にお住まいの皆さんも承知されていて、正直、驚いているというのが現状のようなんですが…。ただ、甲田さんとは遠縁の血筋に当たり、幼少の頃から兄妹のように親しくしていた、地元の女子高生が、この8月に同級生の前で、彼と再会して思わず抱きあっていたということは事実らしいんです。それで、その少女は大岬沖で甲田さんが海に転落した際も、同乗していたということなんです…”
”ええ~、ホントですか、それ…”
現役アイドルグループ、レッツロールのメンバーである甲田サダトの突然死…。
こと衝撃度に関しては、著名人の死としても前例を見ないインパクトを世間に与えたと言える。
東京湾で漂流していたサダトの死体が下半身の衣服は全く纏っておらず、局部が切断された状態で発見された第一報が公になると、まさに日本中が耳を疑った。
そして巷では、新たなその後の事実が明るみに出るたび、驚愕することにる…。
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まず、サダトの死が発覚した翌日には、家族と所属事務所に向けた”遺書らしきワープロ文書”が残されていたと明かされ、誰もがその死は自殺と結論付けたが…。
捜査当局は、その時点でも自殺他殺両面の可能性を否定しない旨を表明したことで、人々はかえって様々な憶測を駆り立て、SNSやネット等に尾ひれ背びれを付して流布させる現象が起こったのだ。
さらに事件発覚後3日目…、サダトの切断された”局部”が発見されたとの報道が成されるに至って、もはや甲田サダトの死はオカルト、都市伝説の括りに流れつく。
そう…、サダトの失われた”下半身の一部”は、千葉県南端、大岬沖で回収されたのだ…。
幼きサダトが潮に呑まれて性的トラウマを産み付けられたであろう、他ならぬ、異次元の渦が口を開くと言い伝えられる、あの浦潮が隆起する付近であったのだから!
この事実がテレビのワイドショーで衝撃的に伝えられると、もはやネット上ではひとつの既成事実が一夜で伝説と化し、それは翌日の各局ワイドショーが一斉に取り上げる事態となったのだ。
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”…昨日、故甲田サダトさんの切断された局部と見られる男性性器が発見されたのは、ここ千葉県房総半島南端に位置する大岬沖の海上でした。…実は、この大岬は生前、甲田さんの親類が嫁いだ場所ということで、レッツロールの甲田サダトさんが幼少期より、よく遊びに来ていたそうなんです…”
”ああ、現場の○○さん…!じゃあ、甲田さんの局部が発見された場所は、甲田さんの、いわば縁の深い地だったと…。それは、やはり潮の流れとかそういった関係なんでしょうかね?”
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”…ええ、そういった現象だと思われるのですが…、客観的な事実として、甲田さん、8月の上旬に4年ぶりでこの大岬の親類を訪れていたそうなんです。そのことは、地元の方々の多くが証言されていたので、まず間違いないようなんですが、さらにですね…”
”現場の○○さーん…、甲田さんが大岬を訪れた際、何か…、今回自殺か濃厚と見られる突然の死と、何か関連がある出来事とかあったんったですかねー?”
”はい…、地元の方たちのお話では、甲田さんは中学生時代、大岬沖で親類の漁船に同乗して沖つりを体験していた際、船から転落して潮に呑み込まれ、あやうく死にかける事故に遭ったそうなんです。…それで、地元の方はもしかすると、その時のトラウマからどこか心的障害を負って、今回一部報道にある、特異な性癖を苦に自殺したその要因がこの時の体験からではないかと…。ここ大岬では、もっぱらそう言った見解が飛びかっているらしいんです…”
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”なるほど‥。あのう…、現場の○○さーん、実はスタジオでも、昨日の”発見”を受けて、ネットとかでも様々な説が流れてるらしいって話になってるんですよ。…甲田さんが溺れかけた海って、地元では浦潮って言って、特殊な潮の渦ができる場所らしいんですが、実際、甲田さんの局部が浮遊していた場所はその辺りってこと何でしょうかね?"
”はい…、これは海上保安庁からの聴取なんですが、どうやら、その場所とは遠くないとのことです!”
”そうですか…。ええとねえ、現場の○○さん。…その他にも昨夜からSNSを含めたネット上の声ではですね…、8月に大岬へ赴いた甲田さんは、遠い親類の女子高校生と抱きあっていたと…。まあ、これはこちらも完全な憶測になりますが、死を決意していたかもしれない時期に、心を交わしていた少女がいたとしら、なんでまた…、甲田さんはああいった命の断ち方をって…。どうなんですかね…。大岬の地元を取材して、その辺りの話で何か情報とか入ってませんかね?”
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”はい‥!今回、ネット上でも様々な情報が交錯しているのは、この大岬にお住まいの皆さんも承知されていて、正直、驚いているというのが現状のようなんですが…。ただ、甲田さんとは遠縁の血筋に当たり、幼少の頃から兄妹のように親しくしていた、地元の女子高生が、この8月に同級生の前で、彼と再会して思わず抱きあっていたということは事実らしいんです。それで、その少女は大岬沖で甲田さんが海に転落した際も、同乗していたということなんです…”
”ええ~、ホントですか、それ…”