遠き記憶を染める色

㉙少女のリベンジ、始まる

少女のリベンジ、始まる…



”いやあ…、そうなるとですよ、現場の○○さん…。今回、ああいった衝撃的な死を遂げた、まだ23歳の現役アイドルで人気絶頂の甲田サダトさんのその胸の内って言うんですかね…、この辺は、お二人が4年ぶりに再会したというこのタイミングですよね…。うがった見方ですが、その高校生の女性はもしや、甲田さんの死を決断した心情も、何か察しておられることがあるかもしれませんね‥”


”…はい。実は、その高校2年になる女性が、甲田さんとは義理のいとこ関係にあるということは、ここ大岬ではかなり周知されていたようなんです。それでですね…、今回、甲田さんが家族あてに残した遺書と思われる文章には、その女性に当てた思いも記されていたということなんです”


”そうですか!…まあ、その娘さんも、さぞ心を痛めてらっしゃることと察しますが…、どうなんでしょうか、ここはその女性に何か話は伺うえませんかね?”


***


”はい!…今回、その女子高校生の女性、ここでは仮にSさんとしまして…、そのSさんは大変ショックが大きいということで、今は学校を休んでいるそうなんですが…、スタジオの○○さん!そのSさんは、甲田さんが自殺する前に残したパソコンデータを”託された”そうなんです。彼女は辛い気持ちをおして、この際、その中身の一部は世間に公表すべきだとして、近くマスコミに向けて告げてくれるそうなんです!”


”はー、そうですか‼では、その女性の手元にあるデータは、今回、甲田さんがあのような亡くなられ方を決意した背景というか、何か要因が明らかになるかもしれませんね?”


”そうなんです…!どうやらデータの中には、生前の甲田さんが記した日記の一部も含まれている模様です。さらにですね…、そのSさん、甲田さんとは芸能界にデビューしてからずっと、メールや電話でやり取りを継続されていたそうなんですね。…その中で、話題の中心と言いますか、甲田さんからの主な報告ごとは、半年前に破局が世間に伝えられた女優の永島弓子さんとのいきさつだったしいんです…”


”ええーっ⁉…じゃあ、現場の○○さん、Sさんは、甲田さんの突然の自殺という選択にいたった原因ともウワサされる、永島さんとのこれまでのいきさつを他ならぬ当事者から直接、それも、リアルタイムで告げらていた方ということになりますね!さらに甲田さんの日記もですか…”


***


”そうですね、そう言うことになります!昨日、ハワイから帰国した永島さんへはマスコミ各社が、甲田さんの持つ特異な性癖に対する認識と、世間への公表以前の破局が、レッツロールのメンバーが証言されましたが、永島さんはその点のいずれも明言を避けたということで、Sさんからその辺りの真実が明かされるか、注目されます!”


”なるほど‥。Sさんは生前の甲田さんから生の声と、甲田さんが残された何らかの文書なりデータで、言わば、永島さんとの結婚を前提としたお付き合いの過程、そして決別までの経緯を知られてて、それを世間へ明らかにされるとうことですね?”


”そのようなんです。Sさんは週明けから学校へも出て、所属する水泳部の練習にも復帰するということで、地元の皆さんは、傷心のSさんを気遣いながらも、この大岬の地に縁故の深かった甲田さんがなぜ、あのような痛ましい決断に至ったのか、Sさんの言動を待っている模様です…”


この二日後、潮田流子はマスコミ各社へ向けて、手記を寄せた。
○○銀行貸金庫より持ちだした、USBメモリーの一部データをプリントアウトしたコピー数枚を添えて…。







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