*夜桜の約束?* ―再春―
【Special.2:再春】夜桜の約束? ―モモ、ついに魔の手に……あ、いや―
[1段階]
「行ってらっしゃーい! 楽しんできてくださいね!!」
モモは同じ寝台車の独身女性三人に手を振った。
お洒落をしてメイクもバッチリ決めた女性陣は、満面の笑顔でモモに応え、はしゃぎながら外へ消えてゆく。
今宵の貸切公演を見に来ていた地元青年団と意気投合し、彼等の宴会に招かれたのだそう。
モモは未だアルコールが呑めない為、彼女達のお誘いは断って、独りお留守番とあいなった。
毎春を過ごす桜並木の町へと移動し、既に一週間が過ぎていた。
明日は初めての休演日だ。
外の空気も少しずつ暖かみを増して、今夜は誰もが解放感に満たされているのだろう。
モモも昨年同様に依然五分咲きの夜桜を鑑賞しようと、上着を着込んで車を降りた。
それでも時折吹く風は、柔らかな印象の春風には程遠かった。
その分空気は澄み渡って、淡雪のような桜の波が、ずっと先まで望めるだろうと嬉しくなる。
そんな気持ちを表すように、弾む足取りで向かった敷地の角には、昨春と同じくのっぽの背中が立っていた。
モモは同じ寝台車の独身女性三人に手を振った。
お洒落をしてメイクもバッチリ決めた女性陣は、満面の笑顔でモモに応え、はしゃぎながら外へ消えてゆく。
今宵の貸切公演を見に来ていた地元青年団と意気投合し、彼等の宴会に招かれたのだそう。
モモは未だアルコールが呑めない為、彼女達のお誘いは断って、独りお留守番とあいなった。
毎春を過ごす桜並木の町へと移動し、既に一週間が過ぎていた。
明日は初めての休演日だ。
外の空気も少しずつ暖かみを増して、今夜は誰もが解放感に満たされているのだろう。
モモも昨年同様に依然五分咲きの夜桜を鑑賞しようと、上着を着込んで車を降りた。
それでも時折吹く風は、柔らかな印象の春風には程遠かった。
その分空気は澄み渡って、淡雪のような桜の波が、ずっと先まで望めるだろうと嬉しくなる。
そんな気持ちを表すように、弾む足取りで向かった敷地の角には、昨春と同じくのっぽの背中が立っていた。
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