*夜桜の約束?* ―再春―
「駐車場で待ってるから、ああ~格好はそのままでいい。明日の着替えだけ持って出てくるんだぞ。後でうるさいから誰にも見つかるなよ? 特に暮! じゃあな!!」

「あ、あの……せ、んぱ──」

 ──い、行っちゃった……。

 マンガみたいに勢いづいた土煙だけを残し、サッサと消えてしまった残像を見送ったモモは、この数分に起こった驚愕の展開をまだまだ整理出来ずにいた。

 それでも覚えている──あたし……先輩と、キス、しちゃった……。

 刹那に頬が上気して、全身の血が顔の裏側に集まった気がした。

 けれどそのまた裏側で思う。

 ──やっぱりロマンティストではない行き先──あれ? 先輩が最近自分の車を買ったのって、まさかこの為じゃ……ないよね?(註1)

 モモはそんな疑問を残しながら、荷物をまとめに自分の寝台車へと駆け出した──。






[註1]凪徒の自家用車購入:その通りです、桃瀬さん。


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