*夜桜の約束?* ―再春―
「あっ、あたしは……先輩のことが、大好きでっ、んっ……!!」
末尾が音声になる前に、言葉は閉ざされた。
目の前にいきなり現れた影に驚いて瞼は降ろされ、その唇を阻んだ冷たく柔らかい何かは、同じ温度となって潤っていった。
「あっ、……んっ……ふ」
上下の唇の間を別の柔らかい何かが強引に割り込み、モモに吐息を洩らさせた。
が、やがてゆっくりと離れ、解放され、その代わりに力強い凪徒の両腕で、モモの細い身体は抱き締められた。
「あんまり色っぽい声出すなって……全部欲しくなるだろ……」
──全部って、全部って? ぜ、全部!?
右頬に触れる凪徒の首筋がトクンと揺れる。
モモはもう長いこと息継ぎの方法を忘れていた。
心臓が胸の中で暴れているみたいだ。
今遇ったことも感じたことも掛けられた言葉も、全て理解の範囲を遙かに超えていて、全身を包むこのぬくもりも、もはや夢なのか現実なのか区別がつかなかった。
──ど、しよ……胸がドキドキして、息が出来ない──
自然と首が後ろに倒れ、その先にぼやけた月が映った──涙?
末尾が音声になる前に、言葉は閉ざされた。
目の前にいきなり現れた影に驚いて瞼は降ろされ、その唇を阻んだ冷たく柔らかい何かは、同じ温度となって潤っていった。
「あっ、……んっ……ふ」
上下の唇の間を別の柔らかい何かが強引に割り込み、モモに吐息を洩らさせた。
が、やがてゆっくりと離れ、解放され、その代わりに力強い凪徒の両腕で、モモの細い身体は抱き締められた。
「あんまり色っぽい声出すなって……全部欲しくなるだろ……」
──全部って、全部って? ぜ、全部!?
右頬に触れる凪徒の首筋がトクンと揺れる。
モモはもう長いこと息継ぎの方法を忘れていた。
心臓が胸の中で暴れているみたいだ。
今遇ったことも感じたことも掛けられた言葉も、全て理解の範囲を遙かに超えていて、全身を包むこのぬくもりも、もはや夢なのか現実なのか区別がつかなかった。
──ど、しよ……胸がドキドキして、息が出来ない──
自然と首が後ろに倒れ、その先にぼやけた月が映った──涙?