不本意ながら、皇帝の胃袋を掴んでしまいました。~後宮の料理妃は俺様皇帝の溺愛求婚から全力で逃れたい~
「雪蓉……もしかして、後悔しているのか?」

 不安そうに問う劉赫に、雪蓉は驚いた様子で劉赫の顔を見た。

「後悔? なにを?」

「皇后になったこと」

「ああ、そのこと……」

 と言って、雪蓉は笑った。

「皇后は今でも荷が重すぎるけど、劉赫の側にいることを選んだことに後悔はないわ」

「辛くないか? もし嫌なことがあったらなんでも言ってくれ。俺が絶対なんとかするから」

「大丈夫。こう見えて私、今幸せだから」

 雪蓉の言葉に、劉赫は驚きと感動で固まった。

 どんなことがあっても雪蓉を幸せにすると決めた。

誰を敵にまわしても、なにが起ころうとも。

 でも、どんなに環境を整えても、俺を好きになってくれなければ幸せと感じてくれないだろうと思っていた。

それが一番の壁だと思った。

 だが、雪蓉は劉赫のことをずっと好きだったと言った。

そして、今幸せだという。

これ以上嬉しいことはないと思った。

これ以上劉赫にとって幸せなことはない。

「ずっと好きだったって言っていたけど、ずっとっていつからだ?」
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