元カレと再共演することになりました

大切な友の存在

撮影後。

今日起きたことは、なんだったんだろう？

現実の世界なのか？

それともドラマの世界なのか？

私は、3年前にタイムスリップしてしまったのか？

そんなことを考えながら、家まで歩いていた。

マンションに到着し、エレベーターに乗る。

エレベーターを降りると、私の部屋の前に人影を感じた。

金髪ロングヘアの長身女性。

花柄ワンピースを着ていた。

「リサ？」

その女性が近づいてくる。

「みゆ？どうしたの？」

「来ちゃった！」

「来ちゃったってどうゆうこと？」

「いや、リサ久しぶりの連ドラでまた誰にも言えずに溜め込んでるんじゃないかな？と思ってさ。」

彼女は、安田みゆ。

アイドル時代の同僚。

今は、卒業し、女優としても活躍中で、1ヶ月後には、韓国に飛び立ち、k-popアイドルにも挑戦するらしい。

彼女は、いつでも決めるとすぐに行動できる人だ。

すぐに行動できない私は、いつもこうやって、定期的に家で集まり、話を聞いてもらっている。

みゆの声を聞いた私は、泣き出してしまった。

「リ、リサ、大丈夫？」

「みゆぅぅぅぅぅ。つらがっだよぉおぉぉ。」

玄関前で嗚咽しながら泣き続ける私。

そんな姿を見た彼女が、

「わ、わ、わかったからさ。とりあえず中入ろう？」

私を部屋の中へと誘導してくれた。

泣き続ける私に、テッシュを次々と渡してくれる優しいみゆ。

しばらくすると、涙も止まった。

「どう？落ち着いた。」

「うん。ありがとう。聞いてもらえてスッキリしたかもしれない。」

私は、自分が思っているよりも、限界だったのかもしれない。

私以上に私のことを理解してくれるみゆの顔を見ると、

これまで溜まっていた毒素が一気に流れ出していった感覚がした。

「なんか大変なことになってるね。ルイくんと共演してるってだけで心配だったのに、そこに東堂さくらも出るなんて。修羅場だね。」

そう言いながら、私の崩れた顔面を丁寧にティッシュで拭いてくれる彼女。

「やっぱりあの2人ってまだ付き合ってるのかな？」

「どうなんだろ？やっぱり気になるの？」

「いや、別に？」

私は、慌てて目を逸らした。

「いや。気になってるじゃん。」　

なんでもお見通しな彼女。

彼女には、嘘をつけない。

「いやなんていうかさ、まだスッキリしてないっていうかさ。浮気されてたのかがはっきりとしてないし…」

まだ言い訳を続ける私。

「そうだね。それは、本人に確認するしかないよね。」

そうだよね。

さすがみゆ。

ハッキリした方が、撮影に集中できるかもしれない。

「次の撮影の時に絶対に聞く！」

私は、彼女にそう宣言していた。

「うん。頑張れ。よし、今日は、朝まで飲もう。」

「だね！飲もう！！！」

私たちは、冷蔵庫から缶ビールを取り出し、乾杯した。