元カレと再共演することになりました

ルイside

「ルイくん、久しぶりだね。」

「そうだね。」

「会うのは、あの時以来?」

「そうだね。なんで話しかけてきたんだろう。あんなに気まずい別れ方したのに。」

「リ、リサ…ほんとにごめんね。私完全に忘れててて、営業かけちゃってさ。」

「いや、もう良いってば。もう3年も前の話なんだから。」

「もう3年か…」

「うん。時効だよ、もう。」

「うん…」

「もう湿っぽいのは、やめよ。私たち仕事を掴むことが大事なんだからさ。とにかく今日は、原プロデューサーに話聞いてもらえたことだし、良かったってことにしようよ。」

「そ、そ、そうよね。今日は、仕事が成功したってことで、今日は、パーっと飲みに行こ!よし!」

「もう。鬼頭さんは、昔からすぐ飲むんだから。」

「ははは。」

彼女と鬼頭さんが笑い合っている。

その様子を僕は、遠くから見つめていた。

「ルイ?行くよ…そ、そんなに気になるの?彼女のこと。それとも、まだ気にしてるの?あの時のこと。」

エレベーター前で如月さんが僕に尋ねる。

「いえ。そんなんじゃありません。あれは完全に僕が悪いんで。」

「そう。なら良いんだけど。」

そう。彼女と僕が別れたのは、完全に僕のせいだ。

僕が彼女以外の女性と週刊誌でとられたせいだ。

だが、正直に言うと、僕は未だに彼女のことを引きずっているのかもしれない。

僕は、打ち合わせでテレビ局によく来ているのだが、毎回、彼女が頭を下げているのを見ていた。

3年前にあんなことがあったから、ずっと話しかけることができなかった。

「彼女、いつもテレビ局で営業してるんですか?」

「そうみたいよ。あなたと共演した時は、あなたよりも売れっ子女優だったのにね。」

彼女は僕と共演した頃、僕よりもはるかにスターだった。そんな彼女に僕は憧れていた。

彼女は僕なんかよりはるかに力があるし、花もある。

そんな彼女がテレビ局で頭を下げ続けている。

僕は彼女のそんな姿を見続けることができなかった。

気づくと、僕は彼女に話しかけていたのだった。

「芸能界って何があるか分からないものね。だからあなたも気をつけてね。特に恋愛の方。アイドルは人気商売なんだからね?」

「はい。分かってます。」

「分かってるならよろしい。」

ピンポーン。

エレベーターが到着した。

「行くわよ。」

「はい。」

僕は、次に主演するドラマの打ち合わせへと向かった。
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