僕と彼女と傷痕
約束
「━━━━みふぶちゃん、この段ボールは?」
「あ!こっちで!」
「了解~」

今日は、風吹の引っ越し日━━━━━━

武公、里莉、呂麻が手伝いに来ていた。

「━━━━━っし!これで…最後!」
武公が最後の段ボールを置いて、おもいきり伸びをした。

「ありがとう!菅井くん。
お疲れ様!」
ガタイが大きい武公。
風吹と並ぶと、まるで親子のように見える。
風吹は、武公を見上げスポーツ飲料を渡した。

「ん!どういたしまして~!
でも、びっくり!
みふぶちゃんが、ゲンと同棲したいなんて言うなんて!」

「そ、そうかな?
ほら、菅井くんと呂麻ちゃんも大学生の時から同棲してるでしょ?
実は、羨ましくて……!」
「そっか!
まぁ…色々大変だけど、楽しいよ!」

「うん。二人見てたら、幸せそう!」
「まぁな!
俺達、夫婦みたいなもんだし(笑)」

「あ!もしかして、いよいよ結婚!?」
「うん。ほら、就職して落ち着いてきたしな!」

「そっかぁ!おめでとう!」
「ありがと!」

「私も……」
「ん?」

「そんな風に、なれるかな?」
荷解きをしている玄匠を見て言った、風吹。

「なれるよ」
「え?」

「………って、無責任なことは言えないが…」

「菅井くん?」
「でも二人は、スッゲーお似合いだと思う!
ゲンのあんな幸せそうな表情(かお)、初めてみたし!」

「ありがとう!頑張る!」


それから五人は、デリバリーを頼み食事をしていた。
「みんな、今日はありがとう!
お疲れ様!」

「ううんー!」
「風吹も、お疲れ!」
「みふぶちゃん、お疲れ!」

「風吹も食べなよ!」
「ありがとう!」
食事を取り分けたり、飲み物の補充ばかりしてる風吹に、声をかける玄匠。
風吹の前に、ピザの乗った皿を置いた。

「あ!そうだ!
あーん、してあげる!」
「なっ…/////
い、いいよ…////恥ずかしいよ…みんな…いる、し…//////」

「えー!もっと甘えて?」
「無理ぃ…////」

「ほんと、可愛いなぁー」
恥ずかしそうに俯く風吹を見て、玄匠は幸せそうに微笑んでいた。

しばらくすると、玄匠の肩にフッと重みがかかってきた。
「ん?風吹?」

「寝てる(笑)」
「ほんとだ!(笑)」
「疲れたんじゃね?(笑)」
里莉、呂麻、武公が笑って言った。

玄匠もフッと笑って、起こさないように風吹を動かし、自身の膝に寝かせた。
そして、ゆっくり風吹の頭を撫でた。
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