僕と彼女と傷痕
「ごめん!」
「だから、気にしてないって!」
「………………怒っていいのに……僕、また壬生さんを傷つけたよ?」
「私としては、こんな風に“普通”に話ができるだけで幸せ!
振られて、気まずくなるだろうなって思ってたから」
「そんなこと……
僕こそ、普通にしてくれて感謝してるよ!
勝手だけど、壬生さんとは仲良くしてたいし!」
玄匠は、ふと思った。
会社立ち上げのことがなければ、今頃彼女と付き合ってたりするのかな?
と━━━━━━
玄匠も、風吹に好意は持っている。
共通の友達を通じて、仲良くなった二人。
話も合うし、風吹は控えめで優しい女性。
一緒にいると、とても落ち着くのだ。
暗くなってきたので、風吹を自宅まで送っていた玄匠。
そんなことを考えていて、ボーッとしていた。
「━━━━━━御清水くん!!!?危ない!!!」
風吹の焦った声で、我に返る。
気づくと、目の前に車が迫っていた。
キキーーーッ!!!!!
急ブレーキの音。
強い力で、引き寄せられる感覚。
その反動なのか、玄匠と風吹の位置が変わった。
次の瞬間………
目の前に、血だらけの風吹がいた━━━━━━━
「命に別状はありません。
しかし、脳に損傷が━━━━━」
「壬生さん、このところ声が聞こえづらいみたいで、検査したところ……………」
「………聴力を失ってます━━━━━━」
医師の言葉が、残酷に玄匠の耳に入る。
僕のせいだ。
僕のせいだ。
僕のせいで、彼女は耳が……………
左耳は完全に聴力を失い、右耳は補聴器なしでは聞こえなくなってしまった。
それでも風吹は、玄匠を責めることもなく笑って接していた。
「大丈夫だよ!
ほら!補聴器があれば、こうやっていつもみたいに会話できるから!」
そして大学を卒業した、玄匠と風吹。
玄匠はある決心をし、風吹に伝えた。
「壬生さん」
「ん?」
「あの日の告白の返事、撤回するよ」
「え?」
「僕、壬生さんの恋人になる!」
「御清水くん?」
「僕に、壬生さんを支えさせて!」
「…………同情だったら、いらないよ。
本当に、御清水くんのせいじゃないし。
そんなので恋人になっても、お互い辛いだけだもん」
「同情じゃない!
僕は、壬生さ……いや、風吹のこと好きだよ?」
「え?」
「ただ、大学卒業したら会社を起こす予定だったから、恋人をつくる余裕がなかっただけ。
もう卒業したし、無事に会社を立ち上げることできたから!」
しかし、風吹は首を縦に振らない。
「好きだよ、風吹。
君が好き………!」
好き、好き、大好き…………
玄匠は、風吹に言い続けた。
「だから、気にしてないって!」
「………………怒っていいのに……僕、また壬生さんを傷つけたよ?」
「私としては、こんな風に“普通”に話ができるだけで幸せ!
振られて、気まずくなるだろうなって思ってたから」
「そんなこと……
僕こそ、普通にしてくれて感謝してるよ!
勝手だけど、壬生さんとは仲良くしてたいし!」
玄匠は、ふと思った。
会社立ち上げのことがなければ、今頃彼女と付き合ってたりするのかな?
と━━━━━━
玄匠も、風吹に好意は持っている。
共通の友達を通じて、仲良くなった二人。
話も合うし、風吹は控えめで優しい女性。
一緒にいると、とても落ち着くのだ。
暗くなってきたので、風吹を自宅まで送っていた玄匠。
そんなことを考えていて、ボーッとしていた。
「━━━━━━御清水くん!!!?危ない!!!」
風吹の焦った声で、我に返る。
気づくと、目の前に車が迫っていた。
キキーーーッ!!!!!
急ブレーキの音。
強い力で、引き寄せられる感覚。
その反動なのか、玄匠と風吹の位置が変わった。
次の瞬間………
目の前に、血だらけの風吹がいた━━━━━━━
「命に別状はありません。
しかし、脳に損傷が━━━━━」
「壬生さん、このところ声が聞こえづらいみたいで、検査したところ……………」
「………聴力を失ってます━━━━━━」
医師の言葉が、残酷に玄匠の耳に入る。
僕のせいだ。
僕のせいだ。
僕のせいで、彼女は耳が……………
左耳は完全に聴力を失い、右耳は補聴器なしでは聞こえなくなってしまった。
それでも風吹は、玄匠を責めることもなく笑って接していた。
「大丈夫だよ!
ほら!補聴器があれば、こうやっていつもみたいに会話できるから!」
そして大学を卒業した、玄匠と風吹。
玄匠はある決心をし、風吹に伝えた。
「壬生さん」
「ん?」
「あの日の告白の返事、撤回するよ」
「え?」
「僕、壬生さんの恋人になる!」
「御清水くん?」
「僕に、壬生さんを支えさせて!」
「…………同情だったら、いらないよ。
本当に、御清水くんのせいじゃないし。
そんなので恋人になっても、お互い辛いだけだもん」
「同情じゃない!
僕は、壬生さ……いや、風吹のこと好きだよ?」
「え?」
「ただ、大学卒業したら会社を起こす予定だったから、恋人をつくる余裕がなかっただけ。
もう卒業したし、無事に会社を立ち上げることできたから!」
しかし、風吹は首を縦に振らない。
「好きだよ、風吹。
君が好き………!」
好き、好き、大好き…………
玄匠は、風吹に言い続けた。