僕と彼女と傷痕
恋敵
「━━━━ふぶちゃん!」
ある日の仕事終わり。
帰り途中の、街中。
突然、声をかけられた風吹。
「え?
みっちゃん?」
「うん!光弥!
久しぶりだね!」
そこには、風吹の幼馴染みの灰沢 光弥がいた。
「久しぶり!
いつ、こっちに?」
「先月だよ!」
「そうなんだ!」
「アパートにいないから探したよ!」
「あ…そっか。
私、恋人ができてその人と同棲してるの」
「は………?」
光弥は、風吹の五つ年上の幼馴染み。
実家が隣同士で、風吹をとても可愛がっていた。
二人は、兄妹のように仲が良かった。
「みっちゃん?」
「同棲って、どうゆうこと?
彼氏、どんな奴?」
少し狼狽えたような、光弥の様子。
「大学生の時の同期生だよ。
とってもカッコ良くて、会社社長さんなの…」
そんな光弥に、風吹は少し後退り遠慮がちに言った。
「なん…で…?」
項垂れる光弥。
「みっちゃん、どうしたの?」
「会わせてよ」
「え?」
「俺には、会う権利がある。会わせて━━━━━━」
二人は、玄匠の会社に向かった。
ちょうど退社時間で、社員達がぞろぞろと出てきていた。
「どいつ?」
「うーん。まだ、来てないかな?」
「………………びっくりしたよ、ふぶちゃん」
視線は会社を見たまま、ポツリと呟くように言った光弥。
「え?」
光弥を見上げる、風吹。
光弥が苦しそうに見えた。
「俺のこと、待っててくれるって思ってた」
「え?え?」
「自意識過剰だけど、ふぶちゃんは俺を好いてくれてるって勝手に思ってた」
そこで、光弥が風吹に向き直った。
「みっ…ちゃ…」
冷たい風が、二人に吹きかかる。
風吹の髪の毛が乱れて、右耳が露になる。
「え……これ…何?」
光弥が、風吹の右耳に触れた。
「え?」
「補聴器…だよね?」
「あ…うん…」
「え……ふぶちゃん、耳…どうしたの?」
「事故に遭って、耳が聞こえなくなったの。
頭を打って……その後遺症みたいな感じかな?
左耳は、全く聞こえないの」
「そう…なんだ……
…………ったく…ボーッとして道を歩いてたんだろー?(笑)」
光弥が、少しからかうように言う。
ある日の仕事終わり。
帰り途中の、街中。
突然、声をかけられた風吹。
「え?
みっちゃん?」
「うん!光弥!
久しぶりだね!」
そこには、風吹の幼馴染みの灰沢 光弥がいた。
「久しぶり!
いつ、こっちに?」
「先月だよ!」
「そうなんだ!」
「アパートにいないから探したよ!」
「あ…そっか。
私、恋人ができてその人と同棲してるの」
「は………?」
光弥は、風吹の五つ年上の幼馴染み。
実家が隣同士で、風吹をとても可愛がっていた。
二人は、兄妹のように仲が良かった。
「みっちゃん?」
「同棲って、どうゆうこと?
彼氏、どんな奴?」
少し狼狽えたような、光弥の様子。
「大学生の時の同期生だよ。
とってもカッコ良くて、会社社長さんなの…」
そんな光弥に、風吹は少し後退り遠慮がちに言った。
「なん…で…?」
項垂れる光弥。
「みっちゃん、どうしたの?」
「会わせてよ」
「え?」
「俺には、会う権利がある。会わせて━━━━━━」
二人は、玄匠の会社に向かった。
ちょうど退社時間で、社員達がぞろぞろと出てきていた。
「どいつ?」
「うーん。まだ、来てないかな?」
「………………びっくりしたよ、ふぶちゃん」
視線は会社を見たまま、ポツリと呟くように言った光弥。
「え?」
光弥を見上げる、風吹。
光弥が苦しそうに見えた。
「俺のこと、待っててくれるって思ってた」
「え?え?」
「自意識過剰だけど、ふぶちゃんは俺を好いてくれてるって勝手に思ってた」
そこで、光弥が風吹に向き直った。
「みっ…ちゃ…」
冷たい風が、二人に吹きかかる。
風吹の髪の毛が乱れて、右耳が露になる。
「え……これ…何?」
光弥が、風吹の右耳に触れた。
「え?」
「補聴器…だよね?」
「あ…うん…」
「え……ふぶちゃん、耳…どうしたの?」
「事故に遭って、耳が聞こえなくなったの。
頭を打って……その後遺症みたいな感じかな?
左耳は、全く聞こえないの」
「そう…なんだ……
…………ったく…ボーッとして道を歩いてたんだろー?(笑)」
光弥が、少しからかうように言う。