僕と彼女と傷痕
相愛
“ビジネスパートナー”

私の本当の願いは、何だろう━━━━━━━


玄匠に言った、玄匠と結婚がしたいと言うのが一番の願いなのは本当だ。

しかし光弥の言った“ビジネスパートナー”というのを聞いて、心が揺れ動いたのも事実だ。


小6で香月 祥太朗のファンになり“私もあんな風に人を喜ばせる店を持ちたい”と夢を持った。

その為に、頑張ってきた。

でも…………



「ただいま、風吹~」
微笑み、帰ってきた玄匠。

「お帰りなさい!」
「風吹ー、会いたかったよぉー
抱き締めていい?
風吹不足なんだ……!」

頷くと、包み込むように抱き締めてきた玄匠。
玄匠の温かい体温と、爽やかな匂い。
とても、落ち着く。

なぜだろう。
玄匠に抱き締められてると、これだけで十分だと思える。

大学生になって玄匠に一目惚れして、武公・呂麻を通じて玄匠と仲良くなった。

毎日が楽しかった━━━━━━

ただ、玄匠と会えるだけで。
ただ、玄匠と話せるだけで。
ただ、近くにいられるだけで…それだけで……

店を持つことなんて、忘れてしまう程に……


“ビジネスパートナー”
“玄匠との将来”

私は、どうしたいのだろう。


「…………っ…玄匠く━━━━━」
「ん?風吹?どうしたの?」

「私……」
腕の中から、玄匠を見上げた。

「ん?」
玄匠が微笑み、頬を撫でる。

「自分がわからない。
どうしたらいいかわからない…………!」

「風吹?」

風吹は、光弥に言われたことを話した。


「そう…」と呟くように言った玄匠は、風吹の頭をポンポンと撫で言った。

「僕は、あの人と風吹が例えビジネスパートナーでも、一緒にいてほしくないと思う」

「うん…」
(そうだよね……逆なら私も……)

「でも!
風吹の夢の為なら、いくらでも我慢できるよ!」

「え……」

「確かに僕は、風吹のビジネスパートナーにはなれない。
でも、あの人ならなれる。
風吹のこと信じてるから、風吹があの人と夢を叶えたいなら……」

「玄匠…く……」



「応援するよ………!」

玄匠が、ニコッと笑った━━━━━━
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