僕と彼女と傷痕
「僕は、風吹に全てを捧げたい!」

「御清水くん…」

「もう一つ言っておくけど!」

「え?」

「僕は、風吹の為なら“何でも”する気でいるから!
“抱いて?”なんて言って、離れさせようとしても無駄!」

「え!?」
(ば、バレてる!?)

「………やっぱ、そうだ!
わざとに“あんなこと”言ったんでしょ?
風吹は優しいから“僕のために”僕を“責任”から解放するために」

「なん…で…」

「そうゆうとこ、好きだよ!」

「御清水く…」

「………………ねぇ、僕の彼女になってよ?
自分でもびっくりするくらい、限界越えてるんだ……!」

「本当なの?」
「ん?」

「御清水くんの気持ち。
本心?同情?」

「………………もし、相手が風吹じゃなかったら……
別の方法で、償おうとしてたかも?」
「え?」

「お金とか」
「慰謝料ってこと?」

「うん。
確かに、風吹が好きって気持ちと僕が好きって気持ちに差はあるかもしれない。
同情の気持ちもあるとは思う。
━━━━━━でも風吹だから、支えたいと思ったんだ!
風吹だから、何でもしたいって!」

「ありがとう……!
私はまだ、御清水くんのこと好きだから、負担になりたくなかったの。
御清水くんの負担にならないなら……
よろしくお願いします!」
ペコッと頭を下げる風吹に、玄匠は言葉にならない喜びを感じていた。

風吹を抱き締める。
「好き…好きだよ、風吹」
右耳に口を寄せ、囁くように言った。


「━━━━風吹。寝よ?
もう遅いし」
「うん。
あ、あの…」
「ん?」

「お風呂、入りたいな…」
「うん、そうだね!
一緒に入ろ?
身体、洗ってあげる!」

「え!!?////む、無理!!絶対!!無理!」
「えー!何でもしてあげたーい!(笑)」
首をブルブル振る風吹に、玄匠はクスクス笑っていた。

「で、でも…それは、ご勘弁を…//////」

「フフ…可愛い~
いいよ、入っておいで?」
「う、うん////」

バスタオルを巻いて寝室を出た、風吹。
玄匠はフフ…と笑みをこぼした。



『━━━━━何これ?』
大学生の時、風吹がノートに書いていた絵を見て言った、玄匠。

『わっ!!?/////み、見ないで!!//////』
『王子と姫?童話?』

『うん。保育園にボランティアに行った時に、簡単な絵本書いたの。
スッゴいベタな、シンデレラストーリー』
『壬生さんが考えたの?』

『うん/////恥ずかしながら…
━━━━━結局、女の人って…いくつになっても憧れてるんだよ?
“王子様”に!(笑)』



「風吹。
これから、ベタベタに甘やかしてあげるからね!」
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