僕と彼女と傷痕
「━━━━なんか、スゴッ!!」
「御清水って、そんなキャラだっけ?」

風吹の友人・里莉(さとり)呂麻(ろま)の三人で、ランチ中の風吹。

二人は高校からの友人で、呂麻の彼・菅井(すがい) 武公(たけきみ)は玄匠の友人だ。

玄匠と風吹は、武公・呂麻カップルを通じて大学に入り知り合った。


「御清水くんって、もっとクールな人だと思ってた」
里莉が言う。
「そうだね」
風吹は、振られた時のことを思い出しながら頷く。
“確かに、淡々と断られたな”と。

「意外と、情に厚い?」
「あー、そうかも?
何度も、耳のことは玄匠くんのせいじゃないよって言っても、僕が傷つけたって聞かなかったし。
償うって聞かないし」
ストローで、氷を突っつきながら言った。

「まぁ、でも!
いい風に考えなよ!風吹」
「え?」

「こんな言い方、不謹慎だけど……
耳のことがあったから、好きな御清水と付き合えたじゃん!」
「そうそう!
風吹。
振られたのに、ずーっと思い続けてたもんね!」

「事故に遭った日も、本当は御清水に会いに行こうとしてたもんね!」
「え!!?」

「「鍵、わざとに忘れてさ!」」
里莉と呂麻が、声を揃えて言った。

「……//////
でも、だからかな?
だから、バチが当たったのかな?
偶然を装って、図書館に行ったこと」
風吹は両耳に触れ、瞳を揺らした。

「それはないよ!」
「そうよ!
だって、風吹は何も悪くないんだから!」
里莉と呂麻に慰められ、風吹は少し微笑んだ。


その日の仕事終わり、やっぱり玄匠が従業員出入口で待っていた。

「お疲れ!風吹」
「玄匠くん!」

「今日、外食して帰ろ?
美味しいオムライス店見つけたんだ!」
「うん!」

手を差し出す、玄匠。
「手、繋ご?ラブラブしようよ!」
「うん////」
少し遠慮がちに、玄匠の手を掴んだ。

フフ…と笑って、指を絡めてきた玄匠。
「しっかり繋がなきゃ!」
そう言って、繋いだ風吹の指にキスをした。


向かった店はカップル席があり、当然のようにカップル席に座った。
「なんか、凄いね!
僕、こんな店初めて!
風吹は?」
風吹の腰を抱いて、顔を覗き込む玄匠。

風吹は顔を赤くし、首を横に振った。

玄匠は“可愛い~”と言って、腰を抱いていた手を更にグッと引き寄せた。
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