僕と彼女と傷痕
料理が来て、玄匠がオムライスを食べさせようとしてきた。
それを真っ赤な顔で拒否し、そんな風吹を見て玄匠がまた“可愛い~”と言って、今度は頬にキスをする。

甘い、甘い雰囲気が流れていた。


帰りも指を絡めて手を繋ぎ、ゆっくり街を歩いていると…………

ジュエリーショップが目に入った、風吹。
(わぁ…/////)

最近、カップルに流行っている“太陽と月”のモチーフにした様々なペアアクセサリーが、ガラス張りの店内に並んでいた。

ショーウィンドウに飾られたアクセサリーに、思わず足が止まる。

「欲しいの?」
玄匠が、顔を覗き込んでくる。

「え?あ、いいなぁーって!」
「ふーん」

「ん?」
(ふーんって何?)
玄匠は、微笑み見ているだけ。

「か、買って…?」
遠慮がちに言うと、玄匠が更に笑った。

「うん!いいよ!」
二人は、店内に入る。

「何にしようか?ネックレス?ブレスレット?アンクレットってのもいいよね?
あ!指輪にしちゃう?
将来の予約!」
心底嬉しそうに、ガラスケースを見る玄匠。
風吹は、そんな玄匠を見つめていた。

彼は、本当に私のために“何でも”するつもりなのだろうか。

「風吹?」
「ん?」

「何にする?」
「玄匠くんが決めて?
私は、玄匠くんとペアならどれでも!」

「いいの?
僕的には、風吹に決めてもらいたいな!」
「ううん。決めて?」

「わかった!
うーん、どれがいいかな?
あ……」
玄匠は、風吹の右耳のピアスに触れた。

「ん?」
「ピアスにしよう」

「え?」

「ね?そうしよ?」
「う、うん。
…………玄匠くん…」
「ん?」

「ううん。
どんなデザインがいいかな?」
二人は、色々見て回る。

風吹は、真剣に選んでいる玄匠を見た。
ゆっくり、玄匠の腕にしがみつくように抱きついた。
「ん?どうしたの?
疲れちゃった?」
頭を撫でる玄匠。

頭を横に振る、風吹。
「風吹?」

「玄匠くん」
「ん?」

「好き」
「え?」
「好きだよ」
「え?え?どう…したの?////
風吹が、可愛い////」

「私は、玄匠くんの傍にいられたら、それでいいんだよ?」
「風吹…」

「だから、もう…これ以上、責任を感じないで?」
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