僕と彼女と傷痕
ピアスを購入し、店を出た二人。

近くのベンチで、お互いにピアスをつけあった。


「よし!ついた!」
「うん」

「フフ…風吹、似合ってる!」
「玄匠くんも、綺麗…////」

微笑んでいた玄匠が、フッと真顔になった。
「風吹」
「ん?」

「責任を感じさせて」
「え?」

「それに責任だけで、僕は風吹の傍にいる訳じゃないから」
「うん」

「どんなに、風吹が許してくれていても……
風吹から聴力を奪ったのは、僕だから。
それは、消えない事実でしょ?」
玄匠は、自身の左耳に触れ言った。

「でも、私が!!」
「ん?」

「私のせいなの!!!」

「え?」
「私、わざとに鍵……忘れたの。
玄匠くんに会いたくて……」

「…………知ってたよ」

「え?」

「だって、ほぼ毎日図書館に行くと、風吹がいるんだもん!
もう単位もほぼ取ってて、タケ達は大学来てなかったでしょ?
僕は、勉強したかったから図書館に行ってたけど」

「アハハ…そうだよね(笑)」

「自意識過剰かなって思いながら、僕に会いに来てるのかなって!」
「やっぱ、バレてたか…(笑)」

「僕は、嬉しかったよ?
どこかで、楽しみにしてたとこもあったし!」
「え?」

「━━━━━僕ね。
風吹を振ったことずっと気にしてた。
てゆうか………どっか少し、後悔もしてた……」
「え?え?」

「だからって、あの時はとにかく会社の立ち上げの事ばかり考えてたから、どうしようも出来なかったけど。
こんな言い方失礼だけど、邪魔だったんだ。
一人でいるのが楽だった。
……………でも、矛盾しててさ。
風吹のこと、いつも気になってたんだ。
他の男と話してるの見てて、ヤキモチとか妬いたりしてた(笑)
風吹は、僕の事が好きなのにって!(笑)」

「そう…なの?」
「うん。
バカでしょ?僕(笑)」

「言ってくれたら、もしお付き合いできても邪魔しなかったのに。
玄匠くん、淡々と“ごめんね”ってそれだけだったから」
「あー、こう言っちゃなんだけど……
女の人って、面倒だもん!」

「え?」
「もちろん、女の人がみんなそうだって言ってる訳じゃないよ?
風吹だって、そんな子じゃないと思うし。
でも鬱陶しいってゆうか、しつこいってゆうか………
振っても“なんで!?”とか言ってきて、しつこく付きまとったりとか」

「そんなこと、されたの?」
「うん。高校の時」

「そうなんだ……」
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